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2018.07.21 Saturday

リペア ファイル その474

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    Fritz Mueller 2010  / ネックリセット・脱着式ネックのためのビス部加工

     

    バッハ協会副理事・中峰秀雄先生所有の”フリッツ・ミューラー 8弦ギター”。重低音から透き通った高音まで奏でることができるダブルトップ構造のギターです。複弦ギターを縦横無尽に弾きこなすギタリストのメインギターを調整するので、若干緊張しています。

     

    伝統的な作りとは違うアプローチのギターですが、古楽器からエレキまで幅広く楽器を扱っているのでその知識を総動員して修理に当たります。

     

    弦高が高いとのことで「リセット」することに。ボルトオン・ネックなのでビスを弛めて取るとネックを外すことができます。このケースではレイズドフィンガーボード下に1ミリ厚のマホガニー薄板を貼り付けて(3次元の面を均一に持ち上げるため細かいパーツを貼り付けました)、ネックを弦の方へ近づけることにしました。ネックの反りはロッド調整の範囲内で対処できました。ハイフレットが持ち上がってしまう「元起き」がなかったのでよかったです。

      

     

    調整はシビアです。ネックは”トーションネック”でしてローポジションに行くにしたがってプレーヤー側にねじれています。そこを考慮しながら各フレットピークを整えて行きます。平ヤスリで削ったピークを半丸ヤスリや三角ヤスリで切り出して、その後ペーパーの番手を変えながら磨いておきます。

      

     

    今回のリペア伴い改造も依頼されました。海外での演奏会に合わせて飛行機の機内持ち込みができるように「ネックを自在に取りはすせるようにできないか」と。昨今は楽器の機内持ち込み規制が厳しくなり、その結果 楽器の事故が増えています。大切な楽器を飛行機の床下の荷台に入れたくない気持ちは、よく解ります。なんとかしなくては・・・考えた末、ビス部を改造することに。

      

    ボルトオンの脱着も慣れてしまえば難しくないですが、クラシックギター演奏家の右手は”爪”が命ですので、なるべく負担のないように大きい持ち手に交換することにしました。なかなか径やピッチに合うビスとノブを探すことができず、ホームセンターに通ったり抽斗の底を漁ったりして合うものを見つけました。

     

    サイドに開いたモニターホールから棒を突っ込んでエンド部の蓋を外すとギターの内部を見ることができます。(マグネット式になっている)

      

     

    横木がファンブレーシングをまたぐような作りです。古くて新しい構造ですが、ギタートップ全体を鳴らす設計思想です。8弦なのに力木が細いですね。表板の剛性が高いのが解ります。

      

     

     

    その表板は杉の”ダブルトップ”です。指板脇までハニカムコアが入っています。「スモールマン」はサウンドホール脇は厚くして鳴らないようにしていますから、「フリッツ・ミューラー」とは設計思想が違いますね。表板全体を鳴らす構造は、”シングルトップ”でも視られます。

      

    サウンドホール下からブリッジまではハニカムコアが入ってなかった。8弦対策でしょうか?

     

    ネックも鳴らす設計で指板下を7本のトンネルが抜けています。ナットとサドルは前のリペアマンによって高く調整されていました。ここに手をつけず弦高を下げることに成功しています。

      

     

    日本人はどちらかと言うと伝統的な作りのギターを欲する傾向があると思います。ネックの仕込みも「スペイン式」か「ドイツ式」が求められ、以前は「ボルトオン」は異端児でした。それがスモールマンが世界的に脚光を浴びたりしたお陰か、「ボルトオンだと音が悪い」とかは言われなくなりましたね。

      

     

    ブリッジの弦穴は”ダブルホール”、表板に肘が触れないようにする”アームレスト”が標準装備。多弦ギターの製作はルシアーの力量が解ります。弦の張力に対するトップの剛性を見極めつつ、軽やかにトップが弦振動に連動して動くようにしないといけないからです。6弦でも難しいのに8弦ともなればなおさらです。

      

    フリッツ・ミュラーは間違いなく名工です。

     

    クラシックギター修理 インデックス http://blog.9notes.org/?eid=648

     

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