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2013.02.15 Friday

リペアファイル その33

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    マーチンD-35 ボディ裏板・側板(サイド・バック)割れ修理

      よく弾きこまれたマーチンD-35です。サイドとバックがばっくり割れていました。柾目のいい材料ですが、木目に沿ってサイドはボトムからネック脇まで割れています。

    3ピース構造のD-35のバックです。右側の板が三箇所亀裂が入っています。これもけっこう長く割れが入っていますね。

    まずはサイドをクランプします。長い接着面なので一度にくっつけず2回に分けて接着しました。こういうケースでは「ニカワ」が有効です。うまくいかない場合は、お湯を使い外すことも可能で確認しながら作業を進めることができるからです。

    といっても気温が低いとすぐに固まってしまうので、手早く作業しなくてはなりません。サイドの面の段差を取りながら合わせて行きます。

    裏板も数回に分けて接着しました。手前にあるのが湯煎している「ニカワ」です。

    写真が横向きになってしまいましたが、裏板の力木がすべて外れていてその修理写真。外れた箇所をパレットナイフで確認して、注射器で薄めたタイトボンドを流し込んでやります。トップとバックを軽くクラッピングして、力木につっかえ棒をし、力木に圧を掛けて接着。はみ出したボンドは濡れふきんでふき取ります。

    これを力木4本の一本につき3箇所、計12箇所をひとつずつ確認しながら接着するので何日も掛かります。

    マーチン修理は、基本「ニカワ」と「タイトボンド」を使います。基本的に瞬間接着剤は使いません。ラッカー塗装の面には、「瞬間」は轍(わだち)ができて向いていないのが、その大きな理由ですが、マーチンオーナーがそれを好まない傾向があるのを知ってのことです。

    その点は、古楽器属・ヴァイオリン属修理と同じですね。ボンド各種もその利点・欠点を生かして使うのがベストですが、「瞬間接着剤」はイージー修理に思われてオーナーさんによっては嫌うのです。

    塗装に入っています。その前に割れて窪みができているところは、ラッカーパテをこしらえて埋める作業を延々とやってきました。ラッカーパテは、ラッカーの溶剤分を揮発させ、濃いラッカーを作ってそれをパテとして使用するのですが、やはり目痩せするので、何度も何度も、盛っては痩せ、盛っては痩せを繰り返し、それからフラット面を削り出してやるのです。

    根気のいる作業で、さらに日数を費やします。その間1月以上。手間はそんなんでもないですが、いつもギターが特定の場所を占領しているので、仕事全体では能率が悪くなってしまいます。

    ラッカー修理は、そこの辺りの事情がメーカーなどで嫌われる理由ですかね。

    塗装に入ってもパテで盛ったところは、目痩せを起こします。塗装を繰り返し痩せを補修しますが、容赦してくれません。本当はじっくりもっともっと時間を掛けたいところですが、ギターを半年も預かる訳にもいきませんので、多少の痩せは勘弁願います。(その分の手間賃を頂けるならできるのですが・・・)

    それでもサイド・バックとも目立たなくなりました。

    仕込んであった後付けピエゾの配線もやり直し、サドル調整・弦高調整もして復活しました。

    驚いたことにこのマーチンさん、「遠鳴り」するのです。よくクラシックギターは「遠鳴り」する名器の話を聞きますが、エックスブレイスのスチール弦の楽器がこんな鳴りをするのは、初めてでした。

    ピッキングの反応も早く、コードを鳴らした時のバランスもGoodでした。
    弦高を低めに設定したので、オーナーさんにそこも喜んでもらえました。

    ところで、バックを3ピースにしてあるD-35ですが、これはブックマッチでバック材を取れなかったので、3枚矧ぎにしたかと思います。これはいいアイデアですよ。いい材木は貴重品です。それを有効活用するのは「もったいない」精神に適しています。

    寺社建築の宮大工の棟梁も、これからは「材料を組み合わせて行く時代に入るだろう、」と語られていました。何もブックマッチにこだわる必要はありません。いい音がする条件を製作者が選択の中から作り上げて行けばいいのです。

    トップでもバックでもいい音が奏でるようにすれば、3枚矧ぎでも4枚矧ぎでも私はいいと思います。

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