2020.02.18 Tuesday

リペア ファイル その634

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    Crwes CL-01 ・VG KTR-LGE / スモークド乾燥処理

     

    2本の国産パーラータイプギターをスモークド乾燥処理しました。(同一料金で一度に2本まで乾燥窯に入れることができます。1本分だけ脱着・バフ磨き料金別途頂ますが・・・)右側のVGは以前スモークした個体ですが、さらに30時間スモークするとどうなるか興味を持たれて再挑戦されました。

      

     

    薪を燃焼させて乾燥窯内に熱と煙を充満させ燻煙処理しています。スモークドハムを作る工程とほとんど同じですが、温度は膠が剥がれない程度に抑えています。火の粉が稀に飛ぶことがあるので、ギターには目の粗い布カバーをかけてあります。

     

    Crwes CL-01 つや消し・オープンポア塗装で仕上げてありました。

      

    全体にヤニが付くのでエチルアルコールで拭き取りを行います。

     

    ブリッジピンを当工房でスモークした黒檀製に交換しました。

      

    強い匂いが残らないように工夫していますが、ギター内部は無垢材があらわになっているので匂いが残りやすいです。ギターをストロークすると音圧で内部から匂いも出て来ます。

     

    糸巻も交換されました。チョイスされたのはゴトー製でポストやギアに真鍮素材が使われた品。

      

    初期のギブソンLPのクルーソンペグも真鍮素材だったと聞いたことがあります。真鍮(ブラス)はもっとも音楽的な金属ですね。

     

    コンパクトボディなのでフルボディのDタイプに比べれば音量・音域が狭いものですが、スモークド乾燥処理してどう変化したか・・・

    最後に依頼主よりコメントを戴いております。

     

    VG KTR-LGE 分厚いピックガードが熱で外れないか心配しました。

      

    今回も大丈夫でした。

     

    サドルを交換しました。音の分離をよくする加工をサドル底辺に施しておきました。

      

     

    「Music Land KEY」のオリジナルデザインで寺田楽器で製作されたギターです。

      

    詳しくは”リペアファイル433” http://blog.9notes.org/?eid=683を見てください。

     

    60時間以上スモークされたギターは初めてです。どんな音になっているか・・・ワクワク。

     

    感想を頂きました。

     

    「二本のギターが無事に届きました。

    先程ケースから出してちょっと音を出してみました。
    KTR-LG
    おぉ、一段とレスポンスが良くなってる!

    CL-01
    前は少しキンキンしてたけど音が太くなりました。

    もう少し弾いてみてから
    後日また感想を送らせてください。

    とにかく、最高です!
    ありがとうございます。」

     

    「ギターのその後の様子をお伝えいたします。

    VG KTR-LG
    1回目のスモークド乾燥でも既にレスポンスが良くなったと感じていましたが、

    はたして2回目のスモークド乾燥処理でこのギターはどうなったのか。

    軽くストローク。
    小さなボディ全体で響く感じは変わらず更にレスポンスが良くなってますね。とっても良い!

    しっかりストロークすると・・・。
    こんな小さなボディから音量と音圧が来る(笑)
    板やネックがストレスなく効率良く響いてくれているのを感じます。
    あ、ただひとつ。以前は低音弦の方に音量があり、1、2弦あたりは控え目に聴こえてのですが、

    今は1〜2弦も元気が出たようで、それによって聴こえ方が少し変わりましたね。

    でも、それもまた弾いていくうちに変化して行くのかもしれません。

    それはそれで楽しみであります。」

     

    ありがとうございます。

    長時間のスモーク効果はたしかにあってこちらも安堵しました。

     

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    Shop:スモークド乾燥処理済み『エピフォン・テキサン』¥ 89,800

     

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    #ギター修理#修理専門店#リペア・カスタム@9notes guitars#custom #guitar#Remodeling guiter#リペア工房

     

    2019.12.15 Sunday

    「木の耳付き」テレキャス・ボディ材 (栃・欅)の販売

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      『表皮側の形がそのまま残っている”栃”と”欅”の木』に『スモークド乾燥』処理を施し『漆生地固め』して作ったテレキャスター・ボディを販売致します。

       

      栃(とち)材のTEボディ

      販売価格¥59,800(税込み・送料込み)  HP内のShopから販売します。

       

      栃の木は「栃の実せんべい」でお馴染みの木です。たくさんの実を付けることから縄文時代から栗と同じく大切にされてきた樹木です。『散孔材』と呼ばれる導管が目立たない種で美しい縮み杢が出ています。

       

      ギター用材としては「アルダー」に似た特徴を備えており、オールマイティーなサウンドです。(あるメーカーは「ジャスパーウッド」と呼びました)

        

       

      ピックアップざくり加工・キャビティざくり加工・配線用の穴も貫通しています。
      ネックポケット寸法はエンド56・5ミリ 深さ18ミリ。重さは2.2キロ

       

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      欅(けやき)材のTEボディ

      販売価格¥59,800(税込み・送料込み) HP内のShopから販売します。

       

      欅は硬くて強い材です。お碗から寺社建築まで日本では広く使われてきた材です。漆との相性は抜群で深みのある色艶が出てきます。漆を6回ほど擦り込んであります

       

      アッシュよりも比重が高く、高域から低域までワイルドレンジで音の立ち上がりに優れます。

        

      材の厚さは45ミリで、弦通し穴が裏まで貫通しています。ストリングブッシュの穴は笠のあるタイプ対応で2段加工してあります。サイドにはアウトプットジャック用の23ミリ穴が開けてあります。

       

      ネックポケットはエンドで56.5ミリ深さ18ミリです。重さ3.1キロ

      ありのままの形・虫に食われ、割れ、外皮がそのまま残っています。自然の形を愛でてていただければ嬉しいです。

       

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      【木の耳材付きのボディ材について】

       

      ふつう材木は「辺材」と「心材」に分けて、「心材」を使うものです。「辺材」は立木の表皮付近の材で、木の養分や水分が行き来する組織が集まっています。そのため材木としては、乾燥後も腐りやすかったり、虫が入りやすかったりするうえ、楽器材としては細胞が荒くて本来適していません。

       

      ただ、表皮は自然のままの形を残すので、自然物を愛でる気持ちを表現できるのでナチュラリストには人気です。

      そこで木を燻して細胞を締める「スモークド乾燥」処理を施して、その細胞を漆液を染み込ませて固める「漆生地固め」して楽器材として使えるようにしました。

       

      この「木の耳」と呼ばれる表皮部分を「コンター加工」に見立ててあるのがミソです。木の自然のラインに同じものはありませんので「オンリーワン」の材言えます。ワンピース材です。


      漆が木に染み込んでいるので杢が浮かび上がってみえます(紫外線に当たると透明になってきます)。漆の「擦り漆」という塗装の技法は、もっとも薄い皮膜で仕上げることができ、また独特の光沢を持っています。

       

      このような「耳付きボディ」は一枚の大きな板から数枚しか取れませんので、贅沢な漆仕上げとともに貴重な一品と言えるでしょう。

       

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      「栃の耳付き材のテレキャス」完成品 の販売

       

      ワンピースの「栃」ボディ/「イタヤ楓」ネックに「スモークド乾燥処理」と「漆生地固め」を施したテレキャスをHPのShopより販売します。 通常販売価格¥320,000(税込み¥345,600)のところ、試奏に使用したため若干の傷が残りました。
      そこで特別価格として¥265,000(税込み・送料込み・ハードケース付き)でご提供します。

       

      詳しくは、http://blog.9notes.org/?eid=531

       

       

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      SHOP内でスモークド乾燥処理済み・ギター・木材販売中

       

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      2019.10.28 Monday

      リペア ファイル その611

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        VG KTRーLG   / スモークド乾燥処理・サドル交換

         

        寺田楽器のオリジナルブランド”VG”。この楽器は"MUSIC LAND KEY"がオーダーした仕様で、よく練られたコンセプトでできていました。これをグレードアップすべく「スモークド乾燥」処理しました。

          

        スモークド乾燥とは・・・

        「木材を煙で燻し乾燥を早める技術は、古くは木地師たち(山の中で木を切り出しロクロで器を作る人達)が行なっていたと云われます。9notesでは、スモークドハムを作る装置を改良して「スモークド乾燥庫」を作り、実験を繰り返しながら、ギターに応用することができるようになりました。温度と燻しを木材の状態をよって微妙に調節しながら、長時間「スモーク」します。スモークすることにより、木材の細胞内のセルロースやリグニン・ヘミセルロースなど物質中の結合水が減っていき、結果、セルロース同士の結びつきが強固になっていきます。強度とともに組織の一体化が進むので振動効率も上がっていく訳です。それを9notesでは「スモークド乾燥」と呼びます。スモークされた材木(トーンウッド)は乾いた音を奏で、音量が大きくなる傾向がみられ(枯れた音というより、経年変化10年ぐらいの腰のある音の感じを得ています)、また強度が増すため、ネックやボディの剛性が上がるようになります。木肌は煙に燻され味わいがあり、経年変化を経たギターのようです。」HP・TOPページより

         

        薪を燃焼させて30時間燻しました。

         

        煤は袋で濾過しましたが、表面には若干油分が付着しますのでエチルアルコールで拭き取ります。

          

        その後はバフで磨いておきます。内部からスモークの香りが漂っています。

         

        オリジナルにはアンダーサドル式のピエゾPUが搭載されていましたが、それを外して”水牛”素材のサドルを仕込みました。

          

        硬度は牛骨より低いですが、雑味のないクリーンな出音だと感じました。

         

        シンプルなロゴデザイン。

          

        ネックをはじめトップ・バックともいいマホガニー単板を使用しています。

         

        写真がうまく撮れませんでしたが、塗装表面がいい感じを醸し出していました。たぶんこれは「吹きっぱなし」(塗装後、研磨してバフ仕上げしていなくて、つや消し塗装のように一回で仕上げた塗装)でしょう。(クリアーにわずかつや消しを交ぜてあるかな)

          

        高級感があるのでこの塗装を取り入れるところがチラホラ増えています。

         

        依頼主から感想をいただきました。

        「VG KTR-LG mahoganyのスモークド乾燥、の感想です。まるでリマスタリングしたかのように明瞭な発音になりました。ボディは以前より鳴っているようで、ストロークすると音量も上がっているように感じます。ワンランクアップしたギターになりました」

        ”リマスタリング”とは言い得て妙です。ありがとうございました。

         

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        2019.09.18 Wednesday

        スモークド乾燥処理済み「エピフォン・テキサン」の販売

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          エピフォン・テキサン(中国製)を”スモークド乾燥”処理し、細部調整/サドル交換(オフセット加工済み)してあります。

          この個体をHP内のShopで販売します。  ¥89,800(税込み・送料込み)ソフトケース付き

          ポールマッカトニーが使ってその名をはせた”エピフォン・テキサン”。テキサンには日本製やリミテッドエディションモデルなど存在しますが、この個体は表・裏単板の廉価版でインドネシア製です。それをチューンナップすべく「スモークド乾燥」処理しました。

           

          スモーク乾燥庫で30時間薫煙しました。燻すことによって木材内部の細胞変化が起り”音の伝達率”が向上しております。「音量が大きくなる」「音の立ち上がり速度が速くなる」「全体の剛性が上がることによってサスティーンが伸びる」など感じていただけると思います。

            

           

          スモーク後にトップをタッピングしましたら、やや硬めの音だったので力木を”はつり”ました。スモークしてあり剛性がアップされていますので、力木をスキャロップすることも可能になりました。タッピングで音確認しながら慎重に削ります。

          (上の写真は露出補正がうまくいってなくて黄色ですが、実際はもう少し褐色です)

           

          元々はShadowのピックアップシステムが搭載されていました。ですが、どうもPU出力サウンドが気に入らない・・・生音もアンダーサドルピエゾでデッド気味だったので、思い切ってシステム全部を外すことにしました。これでタイトになりました。

            

          牛骨でサドルを新調しオフセット加工しました。

           

          ヘッド回りはオリジナルのままです。

            

           

          ストラップピンもオリジナルのまま。エンドピンは内部のコードを外してあります。

            

           

          Top Material: Solid Spruce
          Back Material: Solid Mahogany
          Side Material: Mahogany
          Neck Material: Mahogany
          Scale Length: 25.5"
          Bridge Pickup: Shadow NanoFlex low-impedence
          Binding: Body - 5 ply (W/B/W/B/W); top and back
          Frets: 20; medium
          Nut Width: 1-11/16"
          Machine Heads: Vintage-style, 14:1 ratio with small cream buttons

           

           

          エレアコではなく生楽器として再生したテキサン。生音が鳴ってこそアコースティックギターですよね。

           

          スモークド乾燥とは・・・

          「木材を煙で燻し乾燥を早める技術は、古くは木地師たち(山の中で木を切り出しロクロで器を作る人達)が行なっていたと云われます。9notesでは、スモークドハムを作る装置を改良して「スモークド乾燥庫」を作り、実験を繰り返しながら、ギターに応用することができるようになりました。温度と燻しを木材の状態をよって微妙に調節しながら、長時間「スモーク」します。スモークすることにより、木材の細胞内のセルロースやリグニン・ヘミセルロースなど物質中の結合水が減っていき、結果、セルロース同士の結びつきが強固になっていきます。強度とともに組織の一体化が進むので振動効率も上がっていく訳です。それを9notesでは「スモークド乾燥」と呼びます。スモークされた材木(トーンウッド)は乾いた音を奏で、音量が大きくなる傾向がみられ(枯れた音というより、経年変化10年ぐらいの腰のある音の感じを得ています)、また強度が増すため、ネックやボディの剛性が上がるようになります。木肌は煙に燻され味わいがあり、経年変化を経たギターのようです。」HP・TOPページより

           

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          2019.08.27 Tuesday

          リペア ファイル その559 / 黒檀ブリッジピン・サドル・ナットの販売

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            ”スモークド乾燥処理”済み『 黒檀ブリッジピン・黒檀サドル・黒檀ナット』Setの販売

             

             

            黒檀のブリッジピンとサドルとナットを『スモークド乾燥』しました。黒檀はダイナミックレンジが広い素材です。スモークド乾燥によりレスポンスが改善されています。また従来の牛骨にはない角が取れた音”ウッディートーン”が特徴です。

             

            黒檀ブリッジピン:弦誘導用の溝穴付き。(Top5.3ミリ〜bottom4.2ミリ / 各個多少バラつきあり)

            黒檀サドル:105ミリ×14ミリ×3.3ミリ

            黒檀ナット:66ミリ×12ミリ×6.2ミリ

             

            *サドルとナットは素材ゆえギターに取り付けるには加工が必要です。

             

            HP内のShopで販売しています。

            『 黒檀ブリッジピン・黒檀サドル・黒檀ナット』Set 税込み・送料込み ¥4000

             

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            Three S  F−180 /  ナット・サドル・ブリッジピン交換

             

            上のスモークド乾燥処理済み『 黒檀ブリッジピン・黒檀サドル・黒檀ナット』をオール合板製のスリーエスのOMモデルに装着しました。

             

            スモーク乾燥処理された黒檀ナットは大きめにカットされているので、それぞれのギターに合うようにナットを加工する必要があります。ノコギリやヤスリなどでラフカットした後は、外した前のナットに位置に正確に収まるように加工します。

              

            弦のサイズに合わせたナット溝を切ります。牛骨よりやや柔らかいか。

             

            細かいペーパーで磨くと艶が出てきます。

             

            この機のペグは精度の高いゴトー社製のオープンタイプのものに交換されています。

              

            70年代の国産普及機には安価なペグが使用されていますので、スムーズな弦の巻き上げができませんでしたが、ゴトー社製に交換することによって安定したチューニングが可能になりました。

             

            プラスチック製のナットをスモーク乾燥処理された黒檀サドルに交換します。この素材も大きめですのでブリッジのサドル溝にぴったり合うように加工します。

              

            ブリッジピンのテーパーも各ギターによってわずかに違っています。ジャストフィットするためにはブリッジのピン穴をリーマーで調整してやるとピッタリ合います。

             

            ブリッジはローズ製ですが、黒く染めてありました。

            ブリッジ・ピン・サドルなど全体がブラックに統一されてクールですね。

             

            さて その出音は”ブルージー”でした。サスティーンはさほどなく単音の切れがよく音の粒立ちが感じられます。倍音も控えめでゴージャス感がないのが逆に魅力です。合板トップとの相性がいいかも。

              

            上のセットをご購入下り、ナット・サドル交換をご希望の方には¥10,000(サービス可価格)で御取り付け致します。(税別)

            詳しくはメールでお問い合わせください。

             

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            2019.08.23 Friday

            リペア ファイル その558

            0

              ギブソン J−45 / スモークド乾燥処理・ペグ交換

               

              ホームページの「スモークド乾燥処理」のブログを見ていただき、遠方から依頼をいただきました。昨今はネットと宅配の普及で日本国内の情報と流通のスピードの格差はずいぶんなくなりました。地方に住む私にとってもありがたいことです。

              「楽器のスペックも作りもいいのに、どうも思ったような音がしない・・・」と感じたられた場合、当工房の「スモークド乾燥」処理はいかがでしょうか?

               

              お預かりのギターに装備されているパーツをすべて外して裸にスモーク乾燥庫に吊るします。油分の少ない広葉樹を薪にして煙を庫内に充満させて燻煙していきます。2日から3日に分けて30時間以上「スモーク」乾燥しています。

                

              火の粉が庫内に舞うこともあるのでギターにはカバーを掛けてありますが、布の隙間から煙/ガス/熱がギターに浸透して木材の細胞に変化を起こします。

               

              『スモークド乾燥』を施すと細胞レベルで下記のような変化があると思われます。

              「木材の細胞には、多くのセルロースと少量のリグニン・ヘミセルロースなどの物質があり、セルロース間に結合水が存在する。その結合水がスモーク効果によって減っていくと、セルロース同士が結びつき強固になっていく。そのため剛性がアップし、また音の伝導率がアップされる」科学分析はしていないですが、このように考えています。

               

              ボディに付着したヤニをアルコールで拭き取り、バフで磨いて仕上げます。

              燻した結果、トップの材木がやや痩せたり白いバインディングとかに焼け色(黄色系)が付いたりすることはあります。

               

              ペグを交換します。近年製はグローバーのロトマチック式ペグが標準装備されていますが、以前のJー45に使われていたクルーソン式ペグに交換です。オープンタイプのペグの方が軽いのでサウンドも開放的で明るくなる傾向があります。(この交換にはポスト穴を加工なしで行える”コンバージョンブッシュ”が必要です)

                

              また「ネック折れ」回避にもいいです。(ヘッドが重いと倒したりぶつけたりしたときのダメージが大きいので)

               

              ボディ各所に歴戦の痕が・・・

                

              ナット・サドルはオリジナルのままです。

               

              完成!どうしても燻した匂いが残るのですが、この点はご了承ください。(この匂いでバーボンが飲めると言ってくださる方もいました)

              依頼主から”感想”をいただきました。

               

              *

              音はといいますと、チューニングしてる時からはっきりと振動が強く伝わって来る印象でした。解放弦でジャラ〜ンとストロークした瞬間、「な、何ィ!!こ、これは!!!」と音が飛んでいく印象でした!!そしてデカい!! とても面白くて、しばらく弾き倒してました!! 軽やかとは違う、キレ味といいますか、スモークする前と同じギターとは思えません!!これは最高です!!アタックの音がガンガン飛んでいく、ガラッとしたキレ味のある音に見事変わりました!! 弾いていて楽しいです!!! J-45を購入時に親しい知人に見せびらかしたのですが「これがギブソン?」とイマイチな感想しか頂けませんでしたが、説得力あるサウンドに変化したので、早速見せびらかして来ます。笑 低音の「ギャッ」とも「グジャッ」とも言えるアタック音がクリアに出てきた感じは凄くします!! ジャキジャキにデカい音、弱く弾いても綺麗に輪郭を感じます!! スモーク前はどこか湿った感じでした。 勝田さんにお願いして大正解でした!!

              *

              こちらこそ、ありがとうございました。

               

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              2019.07.27 Saturday

              リペア ファイル その552

              0

                スモークド乾燥処理”アルダー”ボディのストラト製作

                 

                カスタム・ストラトの製作を依頼されました。スモークド乾燥処理をしてあるネックとボディを使ってどんな理想のギターを作るか、依頼主と相談のうえ ボディは「2Pアルダー」、ネックは「メイプル指板」で「P−90を2個」乗っけた「木目が生きる」カラーリングのストラトにすると、決まりました。

                ボディのカラーリングを決め、それに合うピックガードとパーツ類の色も決めました。(今回は基本的にホワイトに統一しました)

                 

                すでに「スモーク」してあるボディを手直しし、ネックも好みの握りと指板アールに各種刃物を使って修正しました。

                  

                ネックは”ミズメ”という国産希少材です。カエデより腰がある材でかつては「弓」に使われた材です。(ミズメ:カバノキ属 「梓(あずさ)」とも、桜材にも似ているので”ミズメザクラ”とも呼ばれる)ネックには最適材と私は考えています。

                 

                ピックガードやPUの位置決めをするため仮組みします。ピックガードは”白ラメ”素材で作製しました。

                  

                ボディをザクった後 塗装しました。見本の写真を見ながら「LPのチェリーサンバーストよりも赤系を抑えた」カラーリングを施しました。依頼主の希望に沿う色を表現するのはなかなか難しいです。

                 

                フレット打ちを済ませてネックも塗装します。「スモーク」ですでに焼け色が付いていますので、全体のトーンを揃えるため若干ブラウン系の色を載せました。

                 

                塗装完了後、フレットに載った塗装を取りつつ フレットピークを整え磨いて完成させます。

                  

                電装系のセッッティング。アセンブリは米国系パーツでPUは”ディマジオDP167”ペグとブリッジはゴトー製です。

                 

                1・6弦を張ってセンターラインの確認をしてPGをボディにネジ締めして取り付けます。

                  

                ネックの仕込み角度も確認。サドルの「イモネジの頭が引っ込み過ぎず出過ぎず」がブリッジの基本設計に沿ったところに収まるのが正解。

                 

                2PUなので3wayスイッチで1V1T仕様です。P−90はシングルでもパワーがあるのでポットは300Ωで、コンデンサーはオレンジドロップの0.033uFを選びました。

                  

                白ラメのピックガードは煌びやかで高級感がありますね。

                 

                ネックはミズメ材に張りメイプル仕様です。ネック強度のアップを計ってエボニー材で補強してあります。

                  

                中央にスカンクラインが走っています。

                 

                「9notes」のロゴが入ります。ペグはゴートー製でHAP機能付き。

                  

                1~4弦までポストの出を短くしてナットからのテンションを稼いでいます。

                 

                ネックの握りは、1F裏から15F裏まで厚さが均一になるよう加工してあります。

                  

                「木目を生かす」塗装なので基本はシースルーでサンバースト部でも木目が透けて見えます。

                 

                スモーク効果で「反応の速さ」が特徴でしょう。また「コンプ感」も感じられます。ノイズも少なく生鳴りもいいです。

                目止めにウレタン系を1回使い、後はニトロセルロース・ラッカーで仕上げています。将来、ラッカークラックが入りヴィンテージ化しても愛され続けているギターであることが、製作家の願いです。

                 

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                2019.07.05 Friday

                リペア ファイル その548 その2

                0

                  SINOMAN ファンフレット・クラシックギター その2 / スモークド乾燥処理・フレット交換(フレット端の丸め処理)・ナット交換・サドル交換・ペグ交換

                   

                  ファンフレットのクラシックギターを30時間燻しました。このギターは『スモールマンタイプ』でトップが非常に薄くできています。内部から光を当てると力木のシルエットが透けて見えるほどです。力木は『ラティス』で格子状になっています。トップが薄い分全体を補強しているのですが、その力木も非常に細いです。”軽いトップ”を目指してこういう構造になっています。

                  なぜ、軽いトップを目指しているのかと言えば、弦振動を音信号に変えるとき「効率」を考えてのことです。その結果、音量がアップしまた反応が早くなります。昨今の音楽シーンのニーズに応える現代的なギターが『スモールマンタイプ』と言えるでしょう。(あるいは、『ダブルトップギター』もそう)

                   

                  糸巻を交換しグレードアップしました。(ゴトー 35G3600C)

                    

                  ナットも交換しました。ナットも斜めなのでいつもとちょっと勝手が違います。

                   

                  フレットはジャンボタイプです。オリジナルもこのタイプが打ってありましたが、太く背が高いフレットを使うのも昨今の流行です。(セーハが楽になると言われています)

                    

                  レイズドフィンガーボードを採用しています。ハイフレットの演奏性向上のためとトップへの弦進入角度が強くなるため振動効率がよくなると言われています。

                   

                  アームレスト付き。ボディサイドにモニター用の小穴が開いています。バックはこの写真でうまく表現できていませんが、アーチドバックです。本物の『スモールマン』はハカランダ削り出しですが、この楽器は整形合板で作られています。アーチドバックにすると内部に力木が必要なくなるので音の反射がよくなるでしょうね。

                    

                   

                  『スモールマンタイプ』はトップを「軽く」作るため弦張力に弱くなるのをカバーするために、トップの下側に型枠が入っていて強度を稼ぐ工夫がされています。表側はスタンダードなクラシックギターのようですが、内部構造はまったく新しいデザインがされています。この独創性は、オーストラリアの製作者『グレッグ・スモールマン』の長年の研究によって生まれました。

                  英国人ギタリスト”ジョン・ウイリアムス”がオーストラリアの山中に住む”グレッグ・スモールマン”に会いに行く動画は感動的です。

                  https://www.youtube.com/watch?v=E2Dq2x8CeS4&feature=youtu.be

                   

                  この楽器はその『スモールマン』を”ファンフレット”にしているという画期的なものです。それをさらに”スモークド乾燥”するという世界的に見ても初めての試みだと思われます。

                   

                  依頼者からコメントを頂きました。

                  ケースを開けてみると香ばしい燻製の香りがしました。・・・・約一ヶ月ぶりの演奏になりますが、音の変化は明らかでした。まず音量が上がり、コシのある音になっています。レスポンスも早くなり、もともと低音が強めの楽器でしたがより低音が響くようになって印象を受けました。悪くなったところは何もなく、良い意味で想像以上の変化を感じました。

                   

                  ありがとうございました!

                   

                  クラシックギター修理 インデックス http://blog.9notes.org/?eid=648

                   

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                  2019.06.30 Sunday

                  リペア ファイル その548 その1

                  0

                    SINOMAN ファンフレット・クラシックギター その1 / スモークド乾燥処理・フレット交換(フレット端の丸め処理)・ナット交換・サドル交換・ペグ交換

                     

                    数年前に当工房で発注/仕入れしたSINOMAN社のファンフレット・クラシックギターを『スモークド乾燥』処理したうえチューンナップをして欲しいと依頼されました。元々鳴るギターでしたが、さらに燻煙することで剛性と音伝導率アップを計ります。

                     

                    フレットワークをやり直すことにしましたので、フレットを抜いたうえ『スモークド乾燥』庫で36時間燻しました。指板にもたっぷり煙を吸わせることでネックの剛性もアップするでしょう。

                      

                    燻した後は全体に油分が付着しますので、それをエチルアルコールで拭き取ります。

                     

                    中国メイドの楽器のレベルは相当上がっていて日本製をも凌駕します。ただ全体にフレットワークはやや甘いので、

                    ここを改善するべくフレットを交換しました。黒檀指板で両端には同じく黒檀のバインディングが巻いてあるのでフレットタングが指板横から見えない仕様です。フレットは「オーバーバインディング」します。

                      

                    ネックの反り具合をみながら適正なタング厚を調整し、同時にタング端の処理も行ってからフレットを打ち込んで行きます。

                     

                    フレットピークを整えます。その後再びピークを丸めてから今度はフレット端を丸める処理を一本一本行います。ファンフレット仕様なので指板に直角にはなっていなくて、ある一点から扇状(ファン)にフレット溝が切られています。したがってフレット端の処理も一様ではありませんでした(はじめての経験でした)。

                      

                    ファンフレットは低音側をロングスケールにすることで張力アップ効果があり、パワフルな低域が期待できます。扇状に広がるフレットは実際演奏してみると、通常のスケールとさほど違和感なく弾けるといわれています。エレキやアコギではときどき見かけるようになってきましたが、クラギでは大変珍しいです。

                     

                    最終的に磨きあげるとご覧の通り。丸め処理でプレヤビリティーも向上します。

                      

                    アームレストの仕上げもいまいちだったので磨き直しておきました。(塗装のムラも全体に見直して補修しておきました)

                     

                    ナット・サドルも新調しました。1弦と6弦を張って12フレットでの弦高レベルを確かめサドル高を仮決めします。本決めは、6本の弦を張ってから調弦しネックとトップが張力によって変化するのを確かめてから、もう一度12フレットでのレベルを計測して決定します。

                      

                    何度も弦を張ったり緩めたりするので弦がヘタってくるのが難です。弦高調整用と出荷用とトータル弦2セット分を請求できれば、本当はいいのですが・・・そこまではできないので1本でやりくりしています。

                     

                    次回に続く。

                     

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                    2019.05.18 Saturday

                    リペア ファイル その538

                    0

                      Gretsch G613IT-62VS  / ”スモークド乾燥”処理

                       

                      ハイスペックのグレッチギター。ホーローボディにTVジョーンズ製の”フィルタートロン”PUが搭載されています。ハンバッカーPUなれど低出力でクリーンなサウンドを醸し出します。とてもいいギターですが、少し「若い音」でした。この件で”スモークド乾燥”処理を依頼されたのでしょう。依頼される多くは、この楽器の本来のクオリティーはもっとあるんじゃないか?という期待からだと思います。それにお応えするひとつの答えが”スモークド乾燥”です。

                      ギターはアコースティックギター・エレクトリックギター共に本体(ネック・ボディ)の”鳴り”が出音に影響されます。弦振動の伝達の密度や濃度が出力に影響されるのです。”燻煙”の作用が木部の細胞内に変化をもたらし振動能率を改善します。

                       

                      乾燥庫に入れたグレッチ。窯から出る煙が乾燥庫に充満します。その際に若干火の粉も飛ぶのでギターに網掛けしています。

                       

                      袋から取り出したカット。油分・ヤニなどが袋に付着しています。煙とともに熱も加わるのでほんの少し焼け色が付きます。

                        

                       

                      本体(ボディ・ネック)にも少しヤニが付きますので、それをエチルアルコールで拭き取るときれいになります。

                       

                      ヤニを取ったらバフで磨き上げます。”スモーク”する前に電装系を外した際に ポットに番号を振って起きました。その順番に従い組直して行きます。グレッチは特殊なスイッチが多いので間違えないように・・・

                        

                      セミアコは内部に手が届かないので組み直しに手間取ることしばし。痒いところに手が届かない感じです。

                       

                      ゼロフレットを採用しています。

                        

                      マスターボリュームが右肩にあるのは便利ですね。一方トーンコントロールは左肩にある3wayスイッチでキャパシティーの容量で変化を付けるプリセット型となっています。右下の3wayスイッチはスタンバイスイッチなるもので、センターにすると出力しない仕組み。

                       

                      ハンバッカーPUですが、サウンドはシングルに近いですね。STシングルともP90とも違う”フィルタートロン”独特のサウンドは、グレッチギターのカラーを特徴付けています。

                        

                       

                      ”スモークド乾燥”処理により生音がアップ。また音の立ち上がり、音の深み(倍音構成の改善)が増してます。枯れたサウンドではなく弾き込んで”鳴り出した”音だと想像していただけますか。

                      ”スモーク”の匂いが残りますが、タバコの臭いとは質が違い”スモークドハム”や”スモークドサーモン”の匂いに近いです。半年くらいでほとんど消えますが、これだけはご容赦ください。

                       

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