2018.02.15 Thursday

リペア ファイル その436

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    フェンダー・テレキャキャスター 70’S  /  フレットすり合わせ

     

    バブルガム・ブラザーズのギタリスト”土門秀明”氏の70‘s貫禄のテレキャスター。ボロボロですが、サウンドは”切れッ切れ”でテレキャスらしく、ファンキーでもあります。

     

    フレットが擦り減っています。楽器の設定はなるべく変えないようにやるのが依頼ですので、『フレット交換』でなくギリギリまでフレットを攻めて『すり合わせ』します。

      

     

    ずい分低くなったフレットの頭を”三角ヤスリ”で根気に山頂(ピーク)を付けるため削り出します。

      

     

    削った痕をペーパーで消して行きます。♯180番・♯240番・♯320番・♯600番・♯1000番と番手を変えながら磨き上げて行きます。最後はバフで仕上げます。フレットピークが再び付いてピッチも正しくなり、コードもきれいに鳴るようになりました。

      

     

    低くなったフレットに合わせて、ナットの弦溝も若干下げます。

      

     

    この時期のTEは”TELECASTER"のデカールがヘッド先端に貼られており、リテイナーも2個つけられています。PUは何度か載せ換えたそうですが、現在はオリジナル。サドルだけチタン製に交換されていました。

      

     

    PGが外されていますが、まるでPGが装着されているように見えますね(そこだけ白い)。ビキニを外した日焼けした女の子みたいでセクシーでした。手放したギターも多いそうですが、このテレキャスだけは手元に残ったとのこと。決めてはこの楽器の”音”ですね。楽器は個体ごとに音が違います。いい個体との出会いは一期一会でしょう。

     

     

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    2018.02.11 Sunday

    リペア ファイル その435

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      ギブソン LP クラシック /  フレットすり合わせ・ロッド調整・ブリッジ交換・アウトプットジャック交換

       

      再びバンド活動を再開するために取り出したギターを、点検・調整するために当工房に持ち込まれました。20代は相当Liveで演奏されたんでしょうね。ギターにも味が出ています。

       

      点検の結果、フレットが磨り減って凹になっているので「フレットすり合わせ」をすることにしました。ネックの反りを見てトラスロッドを調整し、フレットの浮きがないかを確認してから、平ヤスリで凹んだ部分の底までフレットピークにヤスリをかけます。

       

      次に各種のヤスリ(ジャンボフレットなのでそれ用の)を使って、レベルを出したフレットピークに再び山頂(ピーク)をつけて行きます。それからヤスリ傷をなくすためにペーパーの番手を換えながらフレットを磨いておきます。

        

       

      ピカピカになったフレット。「すり合わせ」によってピークを出し直すとビビリ音やバズ音(雑音)がなくなり、音の立ち上がりやイントネーションが改善します。

       

      ギブソンオリジナルのABR-1ブリッジがヘタっていましたので、「ブリッジ交換」しました。ブリッジは2点の支柱で支えられていますが、長年使うと中央が下がって来ていまい、指板のアールと合わなくなって来ます。1弦と6弦の弦高は適性でも 3弦4弦が低くなってビビッたりベンドしにくくなって来たりします。 サドルが真鍮製(ブラスサドル)のクルーソン社製を選んでいます(ブラスサドルにメッキが施されている)。

        

       

      ヘッドに”Classic"のロゴが入っています。ペグはブッシュタイプですね。オープンタイプのハムバッカーPU。

        

      アウトプットジャックも磨耗していたので新品に交換しました。この部品は消耗品とお考えください。ジャックの抜き差しで金属が磨耗してきてガタが出だすと大きな雑音や音が出ないことが発生しますから。

       

       

      サウンドは高域から低域まで音のダイナミックレンジが広いです。高音の抜けがいいですね。マーシャルとの相性がいいのも頷けます。再びLiveで輝いてください。

       

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      2018.02.07 Wednesday

      リペア ファイル その434

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        ボディ組み換え・PG加工・キャビティ加工・PU交換・オイル塗装・ナット交換

         

        ESPのST用ボディを手に入れたので、現在休眠中の”ダンカンST”のネックとPU/アセンブリを組み替えて欲しいとの依頼です。見せたもらったボディ材は国産材「栓(せん)」で出来ていました。見事な”杢”が入ったワンピース材です。1H1V/フロイトローズ用のザクリが施されていました。

         

        これをS-S-Hにします。ルター加工する前にボール盤でおおまかに掘削しておきます。こうするとルーター加工時の刃の抵抗を減らすことができ、少しでも事故の確率を下げることが可能です。ルーター加工は間違うと大きな事故になりますからね。

          

        (元々ボディ裏にV用のザクリ加工がしてあり、丸い穴が開いています)アウトプットジャックはボディサイドにあり。

         

        ネックを取り付けるための加工をします。ネックポケットの寸法が合っていないので、「センター合わせ」と「ポケット深さ」「弦長」を確認しながら「ネックポケット加工」をし、ネックを仮組みしながらシンクロユニットの位置決めをしました。(と書くのは簡単ですが、結構慎重にやらなければならない工程です)

          

         

        ボディに「オイル塗装」します。無垢の木の感じを最大限に引き出す塗装です。私は以前「木工家具」工房をやっていたので「オイル塗装」と「拭き漆塗装」は得意です。いろいろな自然系オイルを試した経験の中でお勧めは、「AURO」と「OSMO」でどちらもドイツのメーカーです。この二つを使い分けながら”艶”あるボディを完成させました。

          

        オイル塗装はだれでも失敗しない塗装なんですが、塗る回数を上げていくとグチャグチャになりやすいので注意。よく乾燥させてから次のステップに行く のと、吹き上げる際に布や紙の繊維が塗装面に残らないよういにするのがコツです(私は拭き取り専用のペーパーを使っています)

         

        キャビティ内に”導電塗料”を塗ってボディは完成。次は支給された新規のPG(S-S-S)のリアをH用に開け直し、もう一台のギターからアッセンブリを外し、リアだけ新規のダンカンのPAF系のハンバッカーPUを取り付けました。アースをキャビティ内の導電塗料に落とし、PGのアルミ箔にもビスを通して通電するようにしてあります。

          

         

        スプリングは「Raw Vintage」社製のものに交換。人気があるスプリングですよね。実際いいし。(また安いのがいい) 裏蓋もスプリングカバーに合わせて同じ素材で作りました。

         

        ナットは磨耗していたので交換しました。アームを使う人はどうしてもナット溝が減ってしまいますよね。少しだけ溝は浅めにしてすぐ減らないようにしてあります。

          

         

        組み上げました!杢が浮かび上がって美しい!オイル塗装で上品でナチュラルな感じに仕上がっています。アウトプットジャックがサイドにあることでトップの木目がいっそう引き立っていますね。

          

         

        フロントPUは”ダンカンANTIQUITY”でミドルは逆巻きでした。リアのハムバッカーPUは出力が引くめで 前のシングルとの相性も抜群でした。「リア一発」という感じではなく、どのポジションも曲の雰囲気によって使い分けできる組み合わせです。

         

        「国産材」でエレキボディを作ることは80年代までは大手メーカーでも取り入れられていましたが、今は少ないです。この「栓」はアッシュ系のボディ材として有効ですが、ほかには「タモ」「栗」なども使えます。国産材は市場での流通量が少ないので馴染みがないでしょうが、もっと多くの材が使えると思います。たとえば「楢(なら)」「シオジ」「楡(にれ)」「ケンポナシ」「ケヤキ」「栃(とち)」「ミズメ」などなど、どれもいい木味を持っていますし、独特のサウンドも味わえるはずです。

        残念ながらアコギのトップ材に使える針葉樹系は、ヤマハも使っている「エゾ松」くらいしかありませんが、「杉」などを圧縮させる技術を応用したら使える日が来るかも知れませんね。研究の価値あり。

         

         

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        2018.01.25 Thursday

        リペア ファイル その431

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           G string テナーウクレレ / 表板剥がれ・裏板剥がれ

           

          見事なオール”コア材”でできたテナーウクレレ。塗装はラッカーの極薄で、ウクレレでは高級品ほど塗装が薄いです。ナイロン弦で楽器を鳴らすよう 薄くしてあるのですね。表板の厚さも大変薄く仕上げてあります。

           

          テナーウクレレの調弦は、アルトと同じ”GCEA”(太い4弦側がGで細い1弦側がA)調弦と”DGBE”(ギターの1〜4弦と同じ)がありますが、ウクレレらしく”GCEA”にチューニングすることが多いと聞きます。アルトに比べて弦長が長いためテンションが強くなりトップに大きな負担がかかり、トップの剥がれが起ることがあります。 そうなっています。

            

          ウクレレにはラダー(はしご型)ブレイシングが採用されることが多いですが、この楽器にはクラシックギターで見られるようなファン(扇型)ブレイシングが使われていました。

           

          接着剤を入れてローワーバウト(楽器の下側の丸い部分)全体に圧力が掛かるように”当て木”を作ってクランプでプレスします。同じように裏板も2回目のプレスで接着しました。

            

           

          くっ付きました。ウクレレには”バインディングなし”スタイルのものが多いので、この手の修理はやりやすいです。

           

          ヘッドには”G”をかたどったインレイが。口輪はワンリングです。”カーリー・コア”材が美しく、サウンドは切れがありつつ暖かです。テナーウクレレは、弦のテンション感はありますが運指は楽だと思います。

            

          これで無事完了、「めでたしめでたし」と行きたいところでしたが・・・引渡し後に連絡がありました。

          「またトップは剥がれた」と「エッー!!!」

           

          同じ時期に表割れを修理したギターにも「剥がれ」が出ました。さすがに「ショック」でしたが、原因を探って見ました。

          この2本は同じ接着剤(エポキシ系)を使っていました。まず考えられるのは、

          1・室温が低くくて「接着不良」が発生した。(ストーブを入れているのが・・・夜間が冷えたか・・・)

          2・硬化剤の量が少なかった。(季節に応じることが必要か)

          3.接着剤自体が古くなった。(2液混合タイプなのでそんなことはないと思うが・・・因みにユリア樹脂系の接着剤は古くなると接着力が落ちる)

          4・圧力不足

          5・経験があるからと”気持ちの油断・慢心”

           

          実際はその複数の要因だと考えられます。そこで新品の硬化時間の長いエポキシ系接着剤に換えて、部屋もがんがんに温めクランプ数も増やして再接着しました。(なんだがビビっているね、この図)

          接着後、弦を張って1週間様子を見ました。無事なのを確認してお客様に手渡しました。なにもかもうまく行けばいいのですが、お客様に迷惑をお掛けしたことはお詫びつつ、『失敗』は経験値を増やし謙虚にやり直す機会だと捉えるようにしています。何年やってもまだまだ勉強が必要な私です・・・

           

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          2018.01.21 Sunday

          リペア ファイル その430

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            ヤマハ FG−130 / ネックアイロン矯正・弦高調整(サドル溝堀直し・駒削り・サドル調整)

             

            弦高が高くで演奏不可能な状態です。「リセット」など手を入れればまた弾ける状態にできますが、この手の国産ギターは低価格で取引きされているので、修理にあまりお金を掛けることができないことが多いのが現状です。それを踏まえて、ぎりぎりの予算内で可能な限りの作業をします。

             

            まずは「ネックアイロン矯正」ロッド調整してから”仕込み角度”を修正してやります。12F 6弦4ミリあった弦高を3ミリまで下げることができました。しかし、この個体はそれ以上は何度やっても曲がってくれません。

             

            そこで次ぎに駒側で対処することになります。サドルを下げるために駒を削ります。理由はサドルとブリッジピンとの間に落差が必要だからです。ここで問題発生。サドルの溝が浅く 駒を削るとサドルが溝がなくなってしまいます。そのため「サドル溝を掘り直す」加工が必要になります。その準備ため一旦 サドル溝をローズで埋め直します。

              

             

            ジグをセットしてルータートリマーでサドル溝を深く加工します。ブリッジピン穴も修正します。(そのままではピンが飛び出してしまうので)

              

             

            サドルとの落差がわずかですので、弦の誘導溝をサドル近くまで伸ばして「立ち上がり角度」を確保。これで12F 6弦2.5ミリ 1弦2ミリにできました。今回はこれで完了しましたが、駒をもっと削ると弦のボールエンドからの巻き上げ部分が、サドルに乗ってしまう現象が起きることがあります。そうなったらトップ裏に薄板が貼り付けてボールエンドの位置を下げてやる処置が必要になります。

             

            現在のヘッドとは逆の 先端に行くにしたがって狭まるタイプです。YAMAHAのロゴではなく”音叉”マークが・・・

            弦を張って出した音のデカイこと!このボディでこの音量はたいしたものです。苦労して復活させた甲斐がありました。まさに「古いギターは言い音がするのさ」です。

              

             

            普及機なので市場に多く出回っていると思います。なので案外 押入れや倉庫で眠っていることも多いでしょう。湿度の高い押入れや倉庫で眠っている間にネックが反ってしまい、懐かしくなり取り出したときには弦高が高くで弾けない状態に、なんてことがあるんじゃないでしょうか? 合板トップでも30年も経つ枯れていい音を醸し出すようになりますよ。一度押入れを探して見てはいかがでしょう。

             

             

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            2018.01.17 Wednesday

            リペア ファイル その429

            0

              マーチン  D16−A  /   バインディング外れ修復・ピックガード交換

               

              ”アッシュ”というアコギには珍しい材木がサイド&バックに使われているマーチン・ドレットノート。バインディングが外れてきました。”セル”素材で巻いてあるバインディングは、どうしても経年変化で痩せて来てしまいます。

               

              腰のくびれ部分は特に剥がれやすくセルが浮いて来ます。この修復には、セルをドライヤーで温めてから接着剤を入れて、テープとクランプで固定してやることで解決できます。

                

               

              その後、はみ出た接着剤をきれいにしてから、細かい番手の水ペーパーで研いでバフで磨いて仕上げます。このギターのセル・バインディングは”べっ甲柄”でした。白バインディングとは感じが違いますね。

                

               

              黒いピックガード(PG)を”べっ甲柄”に交換したいとのこと。ますはPGをドライヤーで暖めながら少しずつ剥がして行きます。焦るとトップのスプルース材も引っ張られて引き裂いてしまうので、気をつけながら・・・ このPGは新しいのか トップに両面テープが残ってしまいました(古いとテープもいっしょに剥がれてくれる)。それを”Zippo”オイルでクリーニングします。

                

               

              何枚かの素材(塩ビ材)の中から明かる目の一枚を選択されました。これをリングにピッタリ合うように加工します。

                

               

              PGの面の処理もしっかりやってギター本体に馴染むように仕上げました。黒PGとは全体の印象がすっかり変わります。素材の威力って大きいですな。この形はティアドロップ型と言いますが、「涙のしずく形」という意味です。アコギの定番の形ですが、マーチンギターの代名詞にもなっていますね。

                

               

              ローズでもマホガニーでもないサイド&バック材のアッシュが使われていますが、サウンドはマホとロースの中間くらいです。これはいいサウンド傾向で、ほかの広葉樹も使えることを意味します。ローズ規制がかかり、これから別の材に需要が移って行くでしょうから、アッシュなどの「環孔材(導管が環状にならんでいる木種)」も使われて行くことになる と私は読んでいます。

               

              関連ブログ:

              マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

               

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              2018.01.13 Saturday

              リペア ファイル その428

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                タカミネ LTD 2017 / 指板端丸め処理・弦高調整(ロッド調整・サドル調整)

                 

                ブラックフェイスのTakamine LTD 2017です。毎年数量限定で発売されるLTDシリーズは、世界中にファンがいて完売される人気シリーズですが、2107はタカミネがある地元・『木曽 馬込宿(きそ まごめじゅく)』をモチーフにしてあります。

                 

                タカミネは岐阜県中津川市の坂下町に位置しますが、木曽川を挟んで対岸には中仙道の『馬込宿』があり車で15分くらいの距離です。馬込宿は石畳が残る江戸時代の街道筋の雰囲気を残した木曽の山の中の観光地ですが、とても趣きがあり気持ちが癒される場所です。

                 

                依頼主は使い込まれた米国製ギターをメインにされていますが、地元メーカー”タカミネ”を所望されてこの楽器を入手されました。ただどうしてもメインギターに手が伸びるとのことで相談に見えました。まず弦高が高いことがその原因でしたが、ほかには「ネックにぎり」が、使い込まれたギターと比べると角が立っているように思われます。そこで指板の端を丸める処理を施しました。

                 

                指板バインディングの面をヤスリを使ってなだらかなアールに加工します。

                 

                次に指板上面の角を丸めます。お手製の”スクレーパー”をを使ってエッジを丸く加工します。エレキメーカー『フェンダーカスタムショップ』や『ハイエンドギター』ではお馴染みの処理ですね。こうすることで なめらかな握り具合を得られます。

                 

                指板には石畳が描かれています。石畳の脇には「灯篭の明かり」「菅笠」「花馬」「水車」が見えます。実際に馬込宿では「水車」がランドマークになっています。ピックガードに描かれているのは、「石臼」の溝のパターン。米・麦・蕎麦などの外皮を取るのに「石臼」は必需品でした。擦れて使い物にならなくなった臼は、庭の”飛び石”などに使われました。

                  

                 

                プリアンプは最新のチューブアンプ「CTP-3」が搭載されています。ミニ真空管を使ったアンプで”ウォームなサウン”を表現します。2ピックアプ対応になっていますので、純正のアンダーサドルピエゾ(パラスティックピックアップ)以外に後付けのマグネットPUやコンタクトピエゾを増設できます。

                 

                2wayサドルでたしかなイントネーションを実現しています。新設計のブリッジはサドルとピン穴が落差ができるようになっており、サドルへの立ち上がり角度がえられやすい構造です。今回弦高調整のため、ロッドを閉め直すとともにサドル底面を少し削りました。

                 

                ボディサイズがOMタイプですが、豊かな音量がありました。それにしても『馬込宿』をモチーフにするとは何だが「灯台下暗し」って感想です。「木曽路はすべて山の中である」は島崎藤村『夜明け前』の有名な冒頭文ですが、”タカミネ”も”9notes”も山の中にあります。

                 

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                2018.01.09 Tuesday

                リペア ファイル その427

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                  Taylar NS32-CE /  力木はずれ

                   

                  ごひいきいなっているギタリスト「土門秀明」氏のギター「テーラーのナイロン弦」。30分くらい弾くとどこか共振する音がする、とのこと。プリアンプのコード類かと思いましたが、どうもそうでない模様。「共振の原因」を探ることになりました。

                     

                   

                  この写真は原因にとなる「力木」を探し当てたときのカットですが、ココまで来るのにあっちこっち手を入れました。まずはネックとのジョイント用のビスを締め直す(テーラーはボルトオン・ジョイントのため)、その次は裏・表の力木を一本一本調べて行く。特にサイドとのつなぎ目が外れるケースが多いのでそこを重点的に調べました。ここは終盤でした。

                   

                  接着剤を流しこんでジャッキアップの要領でクランピングし接着圧力を掛けます。その際 ボディの上下はクランプで挟んでボディの膨らみを抑えます。

                   

                  質のいい黒檀でブリッジが一体整形されています。サドルの下にはピエゾが敷かれていますが、生音でもバランスの取れたクリアーな音がします。エレアコ仕様ですが、クラシック/ガットギターのポイントをうまく押さえた楽器に仕上がっています。

                    

                   

                  ネックヘッドは”スカーフジョイント”されていますが、高度な加工です。

                    

                   

                  サイド&バックはマホガニーの単板で温かい音です。12フレットジョイントですので、ブリッジはローワーバウトの中心に来ていますね。力木も大変細く、弦振動に敏感にできています。メーカー仕様のクラシックギターの力木は、頑丈な力木のものが多いので「音優先設計」か と感じました。接着不良は論外ですが。

                    

                   共振音がなくなってストレスなく演奏できるようになったと思います。

                   

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                  2018.01.05 Friday

                  リペア ファイル その426

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                    マーチン 000−42 / ネックリセット・シム作製(塗装)・フレット交換・ロングサドル交換

                     

                    『ネック元起き』のため弦高調整でサドル高が低くなってしまったため、「サドル高を高くしたい」との依頼。ネックリセットで『仕込み角度』を変更します。この「リペアファイル」でリセットをアップするのは、たしか初めて(楽器店の仕事ではときどきやっています)です。指板下に”シム”を挿んで角度をつけてあります。

                     

                    14F以降の指板の接着をラバーヒーターを使って熱を加えて外します。15フレットを抜いて小さな穴を開け、その穴からスチームを吹き込みます。エスプレッソマシーンで蒸気を発生させてホースでスチームを送り込みます。15フレット下に丁度ダブテールの隙間が来ることを発見したリペアマンがいたのですね。それが世界中に広まったのでしょう。

                      

                     

                    お手製のジグでネックを無事外しました。あたらしめのマーチンは「にかわ」を使っていませんね。古いマーチンより外すのに手間取りました。また”42”なので指板周りに貝が入っていて気を使います。

                     

                    仕込み角度を図面を引いて実測計算します。本来はボディが弦張力で膨らむところまで計算しないと正確な数値は出ないのですが、そこまで肉薄できないので±0.5ミリは仕方なしとしました。計算にしたがってネックヒールを削っていきます。

                      

                     

                    ある程度刃物で削ってからはペーパーをスライドさせてボディサイドと密着するように仕上げます。次に変更した「仕込み角度」によってできた指板裏の隙間に”薄板で作ったテーパーシム”をくっ付けます。この楽器の指板にはバインディングが巻いてありますので”シム”にも同じようにバインディングを巻いてあります。また、ダブテールがゆるんだ分 薄板を接木して仕込みがタイトになるようにダブテールも調整しておきます。

                      

                     

                    指板を外す際にできた細かい傷(貝の上の塗装は剥離しやすい)をラッカー塗装で補修しています。バインディング下に貼り付けた”テーパーシム”も塗装しておきます。    (リセットでタッチアップ塗装することはそうそうないですが、”42”クラスではそこも気を使って仕上げています)

                      

                     

                    ニカワを使って接着。冬ですので朝から部屋の温度を上げて、ニカワが”噛む”(固まってします)ことがないようにしています。

                     

                    フレットが低く押し弦し難いため『リフレット』しました。Jescar♯55090を選択。マーチンよりやや太めで背の高く鋭角なフレットです。トラスロッドがないためフレットタングをクサビ状に入れることでネックの剛性を作っています。

                      

                     

                    フレットピークをあわせるために軽く『擦り合わせ』し、その後ペーパーの番手を変えながら磨き上げて行きます。

                      

                     

                    完成しました。ロングサドルも作り変えてあります。「将来、トップが張力によって膨らんで来てもサドルの削り代があるように」との依頼でしたので通常より高めのサドルに仕立ててあります。ロングサドルの端(エッジ)が立つように、サドルはブリッジと接着してあり、ブリッジとサドルが面一(つらいち)になるように削ってあります。

                      

                     

                    ナットも牛骨に交換してあります。仕込み角度を付け直したネック。

                      

                     

                    バインディングが巻いてあるテーパーシムが指板の下に見えます。

                      

                     

                    トップ全体に貝が巻いてあるゴージャスな作り000−42、弦長はOMよりも短く ベンド/チョーキングを多様するブルースにはもってこいです(クラプトンモデルも使う ”000” モデル  000−28/42)

                      

                     

                    仕込み角度変更前の鳴りは「なんで?」思うくらい42クラスに見合わないサウンドでしたが、変更後は驚くべき音量アップとバランスで依頼者も(私も)びっくり。元々ポテンシャルの高い素材でしたので、弾き込めばさらに音に艶が出て来るでしょう。サドルが高くなった分、弦振動エネルギーがトップ/ボディに伝わるようになったのと、トップに対して弦の進入角度が強くなったので、ブリッジの運動が上下および前後に大きく動くようになったからと推測しています。

                    関連ブログ:

                    マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

                     

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                    2017.12.27 Wednesday

                    リペア ファイル そのリペア425

                    0

                      キャッツアイ /  ペグ交換・ナット交換・サドル交換・ブリッジピン穴修正

                       

                      かつて東海楽器がマーチンとライセンス契約して製造したブランド”Cat's eyes”。今も人気がありますね。各社がフル・マーチン・コピーを試みましたが、なかなか細部まではコピーし切らなかった中、ライセンスを取った東海楽器が一歩リードした感じでした。

                       

                      依頼主によってUsed楽器が丁寧にピカピカに蘇っていましたが、よりグレードアップするためナット・サドルなど当工房が手を入れることに。ペグ交換もそのひとつです。精度の高いゴトー社製のオープンギアタイプに交換します。まずは外したペグのネジ穴を塞ぎます。メーカーによって多少ビス穴の位置が違うので修正が必要です。

                       

                      ボタンは「バタービーンズ」型です。ブッシュは6角タイプで、あえて角がランダムになるように入れてあります。マーチンがそうなんです。国産はこの辺りをきっちり角を揃えて入れてあります。几帳面なのは国民性?

                        

                       

                      ナットも交換。牛骨素材の原型ナットを削り出して 溝にきっちり合うように整形します。次ぎに弦溝を切る準備をします。ヘッドを養生テープで保護して弦幅に対応した専用インチやすりで切り込みして行きます。専用ヤスリにはピッタリ幅のU字型と、底がピッタリ幅でそこから少し広がっていくV字型があります。メンテナンス上は少し広がっていくV字型がいいです。理由は、弦溝の脇が弦交換のときに欠けたりすることがあるからです。ただホールド感はU字型が上ですので、ケースバイケースで使い分けています。

                        

                       

                      完成しました。依頼主が来店した折に演奏し「ナットの両端をもっと大きく丸めて欲しい」とのコメントを戴きましたので、その場で再加工し、実際は下の写真より角はもっと丸くなっています。

                       

                      サドル交換。牛骨素材を溝にピッタリ合うように整形します。弦振動をボディにしっかり伝えるために底面の精度が出ているかが大事。次にゲージを使って12フレットで1弦2ミリ・6弦2.5ミリになるようなサドル高を2点計測し、サドル高を決め、その点を結ぶようにして指板アールを写すと各弦理想のアールができます。

                        

                       

                      ブリッジピン穴も再整形しておきます。穴の開口部の面を大きくします。こうするとブリッジピンが抜き取りやすくなります。また、弦のボールエンドからの巻上げで弦の末端は太くなっているので、ピン穴に溝を切っておくと、弦がストレスなくサドルに乗っかってくれます。ミニノコギリを使って切り込み・・・

                        

                       

                      専用ヤスリで仕上げます。このブリッジはサドルとピン穴が近くで立ち上がり角度も適性です。

                        

                       

                      ヘリンボーンが巻いてありますね。べっ甲柄のピックガードもおしゃれです。力木は低めのXブレーシングでノンスキャロップ。

                        

                       

                      ”28”ばりの倍音構成で余韻のあるサウンドです。”ノンスキャ”のためかタイトで音圧を感じます。鳴るまで時間のかかる”ノンスキャロップ・ブレイシング”と言われていますが、Usedであれば十分慣らし運転は終わっています。今回のチューンでさらに育って欲しいところです。

                       

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