2019.10.16 Wednesday

リペア ファイル その608

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    マーチン 000-28  /  バインディング剥がれ・力木剥がれ

     

    70年代には「ウエスタン・タイプ」に対して「フォーク・タイプ」と呼ばれた、腰のくびれたタイプのアコギですが、正式には『000(トリプルオー)』もしくは『OM(オーエム)』とマーチン社では呼ばれています。

    この楽器は『000(トリプルオー)』です。『OM(オーエム)』とボディサイズは一緒ですが、スケールが少し短いのでテンションが弱くなります(25.4インチ(645mm)と24.9インチ(632mm)の13ミリ差がある)。エリッククラプトンがこのスケールを好んで使うので市場で人気があります。

     

     

    裏板から異音がするときは「力木外れ」を疑ってください。湿度変化によって裏板が伸び縮むするのに耐えきれず、力木の接着力が弱くなってしまう現象で、主に力木の”端っこ”が浮いてしまいます。

      

    前の接着剤を取り除いてから新しい接着剤を隙間に充填しクランピングします。はみ出た接着剤はクリーングしておきます。

     

    裏板のバインディング”腰の部分”が切れて浮いていました。

      

    作業中のカットを取り損ねましたがご覧の通り元通りにくっつけました。

     

    ヘッドの”Marthin&Co”ロゴマークは厚みのある立体的なスタイルで独特ですね。

      

    ”28”はサイド&バックがローズウッド材で貝などの装飾がないシンプルかつパワフルなシリーズになります。(”18”はマホガニーのサイド&バック)

     

    弦長が短い”000”なれど「大きな音」がする当工房での調整済みの個体で、ソロギター演奏で活躍してくれております。

    『000(トリプルオー)』と『OM(オーエム)』はわずかな弦長の違いですが、テンションの違いのほか微妙にブリッジ位置が違ったりしてトップへの弦振動の伝わり方が音の変化として現れます。望みのサウンドやプレースタイルに合わせて選ばれたらいいでしょう。(指が短いとかチョーキング/ベンドには000が有利ですし、低域の伸びにはOMが有利ですね)

     

     

    関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

     

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    2019.10.10 Thursday

    リペア ファイル その607

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      Orville by Gibson  レスポール  /   ポジションマーク入れ・ポジション剥がれ部接着・ブリッジサドル止ワイヤー取り付け

       

      日本製ギブソンといわれた”オービル”。出来がいいので未だに人気があります。

        

      パーツ類が廉価版なのと塗装がウレタンであるところが本家との大きな違いです。

       

      接着障害が出たポジションマークを更新します。

      ポジションマークの接着力が落ちて外れてしまったところにパテが詰めてあったので、ルーターで取り除きました。

         

      交換用に新しいセル製の”ディッシュインレイ”を用意します。

       

      指板アールに合う宛木を作り、接着剤を充填しクランプでインレイを圧着させました。

        

      外れかけていたインレイも接着剤を流し込んでクランプで固定・接着します。

       

      接着完了。

        

      指板面から飛びだしている箇所は、スクレーパーや日本製スクレーパー”刃引き”で削り取ります。

       

      その後ペーパーで仕上げてオリジナルのように復元しました。

       

      ABR-1型ブリッジのサドル止めワイヤーは紛失していました。これがないとサドルが落ちてしまいます。

        

      取り付けました。しっかりクリックしていないとビビり音の原因になるので注意。

       

      レスポールには”チェリーサンバースト”が一番似合うように思います。これが体色していくと”ハニーバースト”や”レモンバースト”になりますが、ウレタン塗装の場合そのようにうまくいくかどうか・・・

        

      持ち続けて経年変化を確かめるほかない?

       

      米国製のレスポールに手が届かない層にとって”オービル”はありがたい存在でしたね。

       

      中古市場でも本家に比べればまだまだ安い”オービル”なので、これを元手にチューンナップしてみれば本家に対抗できる個体を作ることも可能です。試してみませんか?

       

      ギブソンギター修理 インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=631

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      2019.10.06 Sunday

      リペア ファイル その606

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        ギブソン ES-345 / 共振対策(PUキャビティ・ボディ内)・ネックのタッチアップ塗装

         

        ヴィンテージの”ES-345”。バリトーンスイッチが搭載されているところがES-334との違いです。フレディ・キングが使用していましたね。

        特定の音程でギター本体とどこかが振動してハウルるような異音がするときがあります。いわゆる『共振』ですが、生楽器で問題となる『ウルフトーン』とエレキなどで起こる『共振』は若干違いがあります。

         

        楽器には固有振動数があってそれが増幅されるとオオカミが唸ったような『ウルフトーン』と呼ばれる現象がありますが、エレキなでは大音量によって主に金属パーツが振動してハウリングが起こったり異音が発することがあります。今回は後者です。(エレキにもウルフもあるんですけどね)

         

        『共振』しているところを特定するのは難しく、考えられるところをつぶしていくしかありません。まず、浮いている部分が怪しいのでそこをウレタンフォームで埋めてきます。

          

        PUアジャスト用のスプリングも怪しいです。シールドもぶらぶらしているところも止めていきます。

         

        リアPUも同じように埋めておきます。PUキャビティから伸びているシールドもウレタンフォームで押さえます。(ピックガードで隠れる部分)

          

        本当はポット側も埋めてしまいたいですが、今回はFホールから見えるところまではやめておきました。

         

        この写真はリアPUキャビティ内にあった「バリトーンスイッチ」用の回路が入っているBOX。ここにあったのね。

          

         

        ネック塗装の剥離。経年変化や汗などで塗装と木部の間に隙間が広がり剥がれて来ました。ラッカーを少しずつ盛って”面”を作っていきます。

          

         

        ラッカーを盛りオリジナルの面との段差を研磨してフラットにして完成。

         

        ペグはロックペグに交換されていました。

          

        ダブルパラレログラム・インレイが入っています。

         

        ラッカークラックが全面を覆っています。経年変化で自然と作られたクラックは、レリックで作られたクラックとは趣が違いますね。あくまで自然です。(レリックはパターンがあってそれを基本としていますが、実際は個体差があって千差万別です)

          

        アンプを通しても、そのままの生鳴りもよくて 気持ちのいいヴィンテージ”ES-345”でした。

         

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        2019.10.02 Wednesday

        リペア ファイル その605

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          GIBSON L-6  ’72 / ネック捻じれ(ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ)・ストラップピン取り付け・PUキャビティ補修

           

          ギブソン社はレスポールなどのソリッドギターなどヒットを生む前は、フルアコを得意とするメーカーとして成長してきました。この機はその伝統を受け継ぐ正統派のギターですね。ほれぼれ・・・

           

          ネックの捻じれに関してご相談を受けました(遠方からわざわざお越しくださり恐縮です)。点検するとそれほどひどい状態ではなかったのですが、たしかに少し捻じれが出ています。ネックヒーターで「アイロン矯正」します。

           

          「アイロン矯正」後は「フレットすり合わせ」がセットになります。矯正するとフレットピークに多少のバラつきが出るからです。

            

          ピークを平ヤスリで修正したら、再びピークをつけ直しますが、最近は『Z File』なるものを使っています。三角ヤスリと同じような使い方ができるので鋭角なピークを切り出すことが出きます。

           

          ヤスリ傷をペーパーの番手を換えながら磨いていきます。それほど擦っていませんのでフレット高は十分あります。

            

          指板に回っているバインディングと指板エンドの処理が高級感を醸し出しています。

           

          Before After ・・・・(ヘッドのアゴ部とボディのバインディングラインと比較すると捻じれの程度が解ります)

            

           

          ピックアップ・エスカッション用の穴が緩くなって締めつけられませんでした。裏側にパッチを当てて補修します。

            

          (L-6はトップはじめオール単板使用です。トップは針葉樹・スプルースの柾目板なのでどうしてもビスに弱いですね。広葉樹であるメイプルだと強いのですが・・・)

           

          ボディマスが十分あるフルアコと呼ばれるサイズです。PU出力しなくても音量は豊かで音色に深みがあります。

            

           

          トーチインレイ。

              

          ペグはギブソンオリジナルかな。ゴージャスなペグです。ヘッド裏にブラック塗装が施されています。

           

          外来ノイズ防止のためポットは一つずつ金属ケースに入っています。(これはギブソンでも高級機のみの仕様)

            

          黒檀製のブリッジにもインレイが入っています。

           

          ネックヒールにストラップピンを取り付けました。サイド&バックには見事なフレームが入ったメイプルが使用されています。

            

          米国内にはアーチドトップギターの愛好家が多くおりその市場も活発ですが、日本ではまだまだです。それでも愛好家が増えていることはたしかで、日本にもギター文化が少しずつ定着して来たことが伺われます。フラットトップ・ソリッド・セミアコ・フルアコなどのギターがそれぞれジャンルで活躍し、それを超えてクロスオーバーしてくれる日は間近です。

           

           

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          2019.09.27 Friday

          フェンダー(アコギ・エレキ)ギター修理・インデックス

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            フェンダーギター修理 インデックス

            過去に修理したフェンダーのアコースティックギターとエレキギター(ベース・ギター)の「リペアファイル」を索引しやすい様にindexにしました。

            (ファイル上をクリックしてください。そのページに飛びます。)

             

              

             

             

            リペア ファイルその550 フェンダーJAPAN オールローズ・テレキャスター/ 塗装剥がし・ラッカー塗装(オープンポア)・フレット打ち換え・パーツ研磨

             

            9notesオリジナル Fender”マリブ” レモデリング・ギター”E−903”の販売

             

            リペア ファイルその546 フェンダーUSA スタンダード・ストラトキャスター(アメスタ) /  フレットすり合わせ・調整

             

            リペア ファイルその531 フェンダーJAPAN・テレキャスター /  フレット交換(リフレット)・ナット交換・指板塗・リアPU交換

             

            リペア ファイルその526 フェンダーmexico ストラトキャスター / PU交換・ピックガード作製

             

            リペア ファイルその517 『錆びた”イモネジ”の外し方』

             

            リペア ファイルその513 フェンダーMexico JB / ネック・スカンクライン亀裂補修

             

            リペア ファイルその512 フェンダー・アコギ GA-45 / フレットバリ処理・フレット端丸め処理

             

            リペア ファイルその509 Fender American Vintage ’57モデル / ボディカラー・リフィニッシュ(塗装はがし・再塗装)

             

            リペア ファイルその502 フェンダー 70'S テレキャスター / フレット交換・ナット交換

             

            リペア ファイルその500 Fender USA・プレシジョンBASS / フレットレスベース指板にラインを入れる・PU交換・ナット交換・アウトプットジャック交換

             

            リペア ファイルその498 フェンダーUSA JAZZ BASS / ネッアイロン矯正・フレットすり合わせ・ナット交換・PUアジャスト用ウレタン交換・弦高調整・アウトプットジャック交換

             

            リペア ファイルその482 フェンダーUSA・アメリカンスタンダード TE  /  キャビティざくり加工・PG修正加工・PU交換・プッシュ式ポット交換・配線やり直し

             

            リペア ファイルその461 フェンダー・ジャパン プレシジョンBass / トーンコントロールが効かない(コンデンサー欠線・交換)

             

            リペア ファイルその436 フェンダー・テレキャキャスター 70’S  /  フレットすり合わせ

             

            リペア ファイルその423 フェンダー・カスタムショップ ST/ フレット交換・ナット交換・フレットのボールエッジ処理

             

            リペア ファイルその421 フェンダー・ジャパン リッチーブラックモア・モデル/ 導電塗料・ ポット交換・ジャック交換・弦高調整・ロッド調整

             

            「スモークド乾燥」処理をしたストラト・ボディ/ネックの販売

             

            リペア ファイルその406 フェンダー・JAPAN ストラトキャスター/ ナット作製・ポット交換・5wayスイッチ交換・シンクロ用のザクリ穴埋め

             

            リペア ファイルその320 フェンダー・Japan テレキャスター / PU取り付け加工・5wayスイッチ取り付け・フレットすり合わせ

             

            9notesオリジナルFender マリブ レモデリング・ギター『E−902』の販売

             

            リペア ファイルその311 フェンダー・ジャパン J M & グレコ・LP  / フレットすり合わせ・ロッド調整・弦高調整・オクターブ調整

             

            リペア  ファイルその288 フェンダーPB /  穴埋め・簡易塗装・PG整形 (THE MAD CAPSULE MARKETS モデル仕様に)

             

            リペア ファイルその275 フェンダー・ジャパン TEカスタム / ピックアップ交換

             

            リペア ファイルその270 フェンダー・カスタム・ショップ テレキャスター / コントロールスイッチ類の移動

             

            リペア ファイルその268 フェンダー・ストラトキャスター(USA)(メイプル指板フレット交換・指板塗装・ナット交換)

             

            リペア ファイルその263 フェンダーUSA ’62製 ジャガー(ネックポケットシム加工・ポット 配線材交換・フレットすり合わせ)

             

            リペア ファイルその261 フェンダー・ジャパン テレキャスター(電装系交換・ジャックプレート交換)

             

            リペア ファイルその254 フェンダーメキシコ・テレキャスター (フレットすり合わせ)

             

            リぺア ファイルその250 フェンダー ストラトキャスター ”ブラッキー” (ポット・ジャック交換)

             

            9notesオリジナル Fenderソノラン レノデリング・ギター『カスタム ゼロワン』の販売

             

            リペア ファイルその234 フェンダー・ツインリバーブ (キャビネット修理)

             

            リぺア ファイルその223 フェンダー・カスタムショップ・ストラトキャスター(スモークド乾燥処理・ネックポケット加工)

             

            リペア ファイルその183 フェンダー Jazz Master (PU取り付け加工・PU交換)

             

            リペア ファイルその174 フェンダー・アコースティック ESA-10CE  (フレット擦り合わせ・ナット交換・サドル交換(オフセット加工)

             

            リペア ファイルその173 フェンダー ジャズマスター (仕込み角度変更(専用プレート作製)・ナット交換・フレット擦り合わせ・配線引き直し)

             

            リペア ファイルその171 Fender USA American Deluxe Jazz Bass ( ネック調整)

             

            リペア ファイルその150 フェンダーJAPAN   プレシジョン・べース(電装系チェック・アウトプットジャック交換・ナット交換・ロッド調整)

             

            リペア ファイルその141 フェンダー (Mexico) Jazz Master(フレット擦り合わせ・ネックポケット穴埋め)

             

            リぺア ファイルその131 フェンダー(Mexico) Jazz Master(ナット交換・テンションピン追加)

             

            リペア ファイルその129 フェンダー・ジャパン ムスタング (ブリッジ固定加工・フレット擦り合わせ・PU交換)

             

            リペア ファイルその121 フェンダーUSA ジャズベース (電装系チェック・トーンポット交換・コンデンサー交換)

             

            リペア ファイルその110 フェンダー ストラトキャスター (フレット擦り合わせ・ナット交換)

             

            リペア ファイルその86 フェンダー・テレキャスター 2種 (ナット交換)

             

            リぺア ファイルその82 フェンダー・ジャパン JB (ノイズ処理・配線やり直し)

             

            リペア ファイルその36 フェンダーJAPAN ST (メイプル指板・フレット打ち換え/フレット面塗装/ナット交換)

             

            リペア ファイルその25  フェンダージャパン・JB(アッセンブリ交換)フェンダーカスタムショップ・JB(配線やり直し)

             

            リペア ファイルその22 スクワイヤー5弦ベース (ポット交換)

             

            リペア ファイルその19 フェンダーコンポST (カスタムギター組み上げ)

             

            リペア ファイルその15 フェンダー・ジャパンST (PU用ザクリ加工)

             

            リペア ファイルその10 フェンダー・ジャパン製JB(ポット類・配線材・コンデンサー交換)

             

            リペア ファイルその5  フェンダー・カスタム・ショップST(フレットすり合わせ、各種調整)

             

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            ギブソンギター修理 インデックス http://9notes.jugem.jp/?eid=631

             

            マーチンギター修理 インデックス http://9notes.jugem.jp/?eid=307

             

            クラシックギター修理 インデックス http://blog.9notes.org/?eid=648

             

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            2019.09.23 Monday

            リペア ファイル その604

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              マーチン D−28 / バインディング剥がれ・ナット再成型・サドル交換(オフット・バランス加工)・フレット部分すり合わせ

               

              フィンガーピッカーやフラットピッカーの要求を満たす ポテンシャルを持つドレットノートtypeギター。その定番が”マーチンD−28”です。

              今回はリペア時に『調整/チューンナップ』も行いました。

               

              裏板の腰の部分でバインディング剥がれが起こりました。マーチンギターではよくある現象です。良質のローズ柾目板を使ってあっても日本の湿度変化に応じきれず膨らんだり縮んだりし、裏板のバインディングに負担がかかり剥がれて来たり、バインディング自体が経年変化で縮んで剥がれてきます。

                

              接着剤を摺り込んでテープで留めてから、腰の形に沿う型をはめて圧着します。左右のバインディングとも同じ作業を繰り返して留めました。

               

              ここからは音に関するチューンナップです。音の分離と立ち上がりを考えてナットを再成型しました。

                

              マーチンオリジナルより鋭角なナットになっています。

               

              サドルを牛骨に交換する際に弦長補正する『オフセット加工』と

                

              音の分離をよくする『バランス加工(トップとの接触面を各弦独立させる)』を施しました。

               

              サドル底面が橋脚のような形に整形してあります。

               

              ブリッジピン穴からサドルピークへの立ち上がり角度を改善すべく、まず弦用の溝を特殊刃物を付けたジグソーでブリッジに切り込んでから、

                

              サドル側へ弦の誘導溝をミニルーターで付けます。

               

              これでブリッジにストレスなしで弦が収まり、かつサドルピークへの立ち上がり角度も十分取れます。

              トップへ弦振動がロスなく伝わることで音量・情報量が改善されます。

               

              トラスロッドが入ったマーチンですが、ロッド調整するとややローフレット部に波が見られました。その部分だけを『すり合わせ』してフラットに調整します。

                

              ヤスリ掛けの後はフレットピークを再成型して磨き上げておきます。

               

              ネックの状態もよくなりました。

                

              耳のいいフィンガーピッカーの依頼者でしたが、チューンナップ後は「音のばらけ」がよくなって満足して頂けました。フィンガーピッカーによる演奏では、はじく2〜3音の隙間がなく鳴ってくれ、どのポジションでも音量差やサスティーンの差が少ないことが求められます。

               

              主旋律が映えることはもちろんですが、ベース音や和音もきちんと聞こえる(内声もきちんと聞こえる)ことが大事です。音がひと固まりになって聞こえるとと「バランスが悪く」感じるのだと思います。

              メーカー出荷時にここまでの調整はしてありませんので、メンテンナンスとともに『調整/チューンナップ』をしてみたらいかがでしょうか。

               

              関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

               

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              2019.09.13 Friday

              リペア ファイル その603

              0

                リッケンバッカー”4003”BASS / フレットすり合わせ・ロッド調整・弦高調整

                 

                ”個性的なベース”と位置付けされるリッケンバッカーですが、私にとってそのタイトなサウンドの印象は、ポールマッカトニーより『The Jam』のブルース・フォクストン  によるかな。

                 

                弦長はフェンダーの34インチに対してリッケンベースは33.25インチなのですが、ネック部がボディより飛び出している部分が長いので「ネック反り」がつきものです。(いくらスルーネック構造でも厳しい)

                  

                そのためトラスロッドが2本入っていて強度増を図っています。(写真は色違いの”4003”)

                 

                ロッドを調整してからフレットを「すり合わせ」を行いました。

                  

                擦ったフレットのピークを三角ヤスリや半丸ヤスリで修正し、その後ペーパーなどでヤスリ傷を取り除きピカピカにまで磨き上げます。

                 

                サドル側で弦高調整します。至極単純な構造で2本のイモネジで上げ下げします。サドルとテールピースとの落差はわずかです。

                  

                面白いのがサドル前に付いている”ミュート機能”。現代ではあまり使う人がないので”無用の長物”となっています。

                 

                リアピックアップは”カバード”タイプで骨太い音がします。コントロールはLPの配列とは違い手元側がトーンコントロールで奥がボリュームコントロールです。(上側2個がフロント、下側2個がリア)

                 

                2個のアウトプットは片方が通常タイプでもう片方がステレオ出力できる「リックオー・サウンド(Rick O Sound)」と呼ばれる専用ジャック。実際にはこれを使っているのを見たことがありませんが・・・

                  

                やはり個性的な楽器でした。だからこそ使いこなすと唯一無二の存在になります。『イエス』のクリス・スクワイアや『モーターヘッド』のレミーもインパクトのある存在でしたね。

                 

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                2019.09.10 Tuesday

                リペア ファイル その602

                0

                  フェンダー・ジャパン ジャガー / ビグスビーtypeトレモロ取り付け・ブリッジ交換・ネックポケットシム

                   

                  ジャガーの「フローティングトレモロ」を外して「ビグスビーtypeトレモロ」に載せ換える改造です。同時にブリッジも交換しましたが、元々ブリッジにかかるテンションが不足していたので、ネックポケットにシムを挟んでブリッジでテンションを稼げるようにしました。

                   

                  ニルバーナのカートコバーンのジャガーにならってPUがHMに交換されていました。トレモロからの緩いテンションに悩まされていろいろ改造されていましたが、今回「ビグスビーtypeトレモロ」に載せ替えます。

                    

                   

                  「フローティングトレモロ」を外して「ビグスビー」に交換するためのアイテムが市販されています。BIGSBY「B50」を使う前提でジャガーやジャズマスターのトレモロを外したうえにこれを装着すると難なくビグスビーが取り付けられるというユニットです。『VIBRAMATE ( ヴィブラメイト ) /V5-JAM C 』 ネジ穴がそのまま使えます。

                    

                   

                  このトレモロは中国メイドの廉価盤ですので、先のヴィブラメイトとの相性がわずか違います。そこは手仕事で修正しました。

                   

                  ブリッジはローラーサドルが付いたものを入手しました。ブリッジアンカー(スタッド)の位置が違うので一旦穴を埋めて新たに開け直します。

                    

                  ピックガードにアンカー(スタッド)の笠が収まるように加工しました。

                   

                  1弦・6弦を張ってブリッジ位置を最終確認。弦長も補正してあります。

                    

                   

                  ブリッジサドルの高さを現状よりも3ミリかさ上げしたかったので、3ミリのシムを黒檀で作製し ネックポケットに挟みました。(このシムをHP内のSHOPで販売します。詳しくはこのブログの最後を参照)

                    

                   

                  これでテンションも稼ぐことができます。また黒檀製のシムなのでネックの弦の振動をボディ側に余すところなく伝えます。

                    

                   

                  サドルピークからトレモロへの弦誘導角が増したことと、テールピースとしてのトレモロの重量がアップしてことで 音の定位を下げサウンドに腰を与えています。

                  「ビグスビーtypeトレモロ」で見た目もヘビービューティ感があってカッコいい。

                   

                  ---------------------------------------------------

                  長い間Shop内で品切れ状態であった ジャガー専用『ネックポケットシム』 2ミリ・3ミリ・4ミリ を再び販売致します。(どれも¥3980です)

                  4ミリシム:http://shop9notes.thebase.in/items/4261648

                  3ミリシム:http://shop9notes.thebase.in/items/4261683

                  2ミリシム:http://shop9notes.thebase.in/items/4261699

                   

                  同じく長い間Shop内で品切れ状態であった ジャズマスター専用『仕込み角度変更・プレートセット』も再び販売致します。(¥7800) リペアファイルその173を参照してください。

                  http://shop9notes.thebase.in/items/1903986

                   

                   

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                  2019.09.06 Friday

                  リペア ファイル その601

                  0

                    Gibson Les Paul Classic  / フレット交換(オーバーバインディング)・ナット交換

                     

                    ゴールドトップのレスポール・クラシックです。この黄金色が似あう楽器はレスポールのほかないですね。

                     

                    低くなったフレットを交換します。refret(リフレット)です。フレットを抜いた指板面を、長手方向はストレート性を横方向はオリジナルの指板ラジアスをキープしながら修正します。

                      

                    レスポールはバインディングが巻いてあるので、フレット溝をきれいに仕上げるのに専用道具がいろいろ必要です。フレットタング(脚)の深さもきちんと保たれているかゲージで確認しながら進めます。

                     

                    一本一本丁度いい”きつさ”に調節しながら打ち込んで行きます。(オーバーバインディングなのでフレット端は処理してあります)このちょうどいい”きつさ”が弦張力に耐えるネック強度を生みます。

                      

                    打ち終わったらフレットピークを軽く「すり合わせ」して調整し、半丸ヤスリでピーク/山頂をつけ直してから一本一本ペーパーで磨いて仕上げます。

                     

                    ナットも交換しました。

                      

                     

                    オーバーバインディングされた写真2カット。

                      

                     

                    シングルコイルの「P−90」が搭載されています。初期のレスポールモデルですね。

                      

                    ゴールドトップに”スピードノブ”が映えます。(これを抜くときにうまくやらないとシャフト部分で透明な樹脂にヒビが入るので注意。ハットノブなら心配ないんだけれど・・・ソーサーノブも同じく樹脂なので注意しましょう)

                     

                    完成しました。

                      

                    昔はゴールドトップを剥がしたらものすごい虎杢が出てきたなんて話がありましたが、現行品ではそんなことはないです。トップにクラックが入って来たらさらにカッコよくなるでしょう。

                     

                    ギブソンギター修理 インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=631

                     

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                    2019.09.01 Sunday

                    リペア ファイル その600

                    0

                      SOUNDENA M120   / 全体調整・フレットすり合わせ

                       

                      イチジク型のマンドリンです。マンドリン属は世界中にありリュートから派生したナポリ型やローマ型のほか、ポルトガル型とかギブソンのF型/A型のフラットマンドリン、ブラジルのショーロなどがあります。どれもヴァイオリンと同じG-D-A-Eチューニング。

                      日本では「ギタマン」と称するギターとマンドリンのアンサンブルが盛んですね。

                       

                      全体の調整をしました。レベルの精度を出すため「フレットすり合わせ」します。

                       

                      マンドリンにフレットはウクレレと同じく細いものが使われています。

                       

                      全体にバフ磨きを掛けたのでペグブッシュを抜いてありました。再び入れ直します。

                        

                       

                      ゴトー製の糸巻が使用され巻き上げもスムーズ。

                        

                      ヘッドに4コース8弦分のペグが開けてあるタイプをナポリ型を云い、クラシックギターのへっドのような”スロテッドヘッド”を持つマンドリンは、ローマ型と呼ばれます。

                       

                      ピクガードは掘り込み式(アコギのように後付け出なくトップと面一になっている)が一般的で、高級機はそこにインレイが入っています。

                        

                      裏側のドームは細いリムで構成されています。これが細かいほど高級で、これはそのリムを一本一本スキャロップしてあります。

                       

                      ローズ指板に貝のポジションマークが入っていてゴージャス。

                        

                      10フレットでボディにジョイントされています。

                       

                      ネックジョイント部のリムには「透かし彫り」がされ、またリムは真ん中が薄くなるように彫り込まれて、スキャロップ加工されてもいます。

                        

                       

                      横から見るとトップは「へ」の字に曲がっています。これはテールピースへ角度を強くつけるためにこうなったと推測しますが、トップの剛性もアップされていると思います。リュート起源ですが、改良されて現在の形になったんでしょうね。

                      マンドリン製造の歴史は古く欧州には老舗メーカー/製作家が健在です。”カラーチェ”はギターで言えば”ラミレス”のようなものかな。ほかに”ヴィナッチャ””エンベルガー”などがあり、ヴィンテージマンドリンの市場もあるぐらいです。

                       

                      私の好きなマンドリン奏者はイスラエル人の”アヴィ・アヴィタル”でクラシックからワールドミュージックまで幅広く活躍しています。米国にはパンチブラザースの”クリス・シーリ”もいます。マンドリンはまだまだ可能性広い面白い楽器だと思いますよ。

                       

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