2019.05.22 Wednesday

リペア ファイル その539

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    ふたつのSuzuki Violin / 古い「木曽鈴木」製のクラシックギターと「名古屋鈴木」製のクラシックギターのリペアをしました。親子というか兄弟のというか同じSuzuki を名乗るふたつのメーカーは、明治時代からヴァイオリンの量産をはじめた『鈴木政吉』の作った会社「鈴木バイオリン製造株式会社」が元になっています。政吉の息子の会社が「木曽鈴木」で、一方 子会社であった「恵那楽器」が製作したのが「名古屋鈴木」です。ややこしい・・・ともに濃尾平野で木曽川水系に位置します。

     

    左が「木曽鈴木」右が「名古屋鈴木」です。

      

     

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    木曽鈴木クラシックギター / サドル交換・ペグ交換・全体クリーニング

     

     

    弦高調整と音質向上のため「サドル」を牛骨製に交換しました。

      

     

    糸巻もガタが来ていましたので新品に交換しました(糸巻は消耗品とお考え下さい)

      

     

    オール合板製ですがいいころ具合に枯れていて、とても軽やかな音を奏でます。

      

     

    大きな傷もなく全体に経年変化をあるものの比較的いい状態です。

     

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    名古屋鈴木クラシックギター /  サドル交換・ペグ交換・全体クリーニング

     

     

    こちらもサドルを牛骨製に交換しました。

     

    糸巻も交換しました。そのため巻き上げがとてもスムーズです。

      

     

    オール合板製でサイド&バックはローズです。

      

     

    赤茶けた色が載せてあり「木曽鈴木」とは対照的な印象です。こちらも枯れたサウンドが心地よいです。

    木曽川水系には、多くのギターメーカーがかつて存在(KASUGA、S・yairi)し、今も存在(K・yairiもタカミネも寺田も星野(アイバニーズ)もそうです)しています。木曽鈴木は倒産後「ESP」がその場所で製造していました(今はない)。70年代はギターが飛ぶように売れた時代でこの地ではOEM生産も盛んでした。それができたのは「鈴木バイオリン」が名古屋にあったからだと私は推測しています。「鈴木」があった関係で木材商(アイチ製材)や問屋や関連会社が多くあったらからです。楽器製造に適した場所であったのですね。(同じことが明治時代創業の「ヤマハ」の地、浜松でもいえます)

     

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    2019.05.10 Friday

    リペア ファイル その536

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      Gernot Wagner 2004  /  全体調整

       

      ゲルノット・ワグナー製作の”ダブルトップ”ギターの調整を行いました。ご存知、ワグナーはマティアス・ダマンとともにNomex®をはさんだサンドイッチ構造の”ダブルトップ”ギターを考案した本人です。1996年に完成させたとネット情報で知りましたが、瞬く間に世界中で”ダブルトップ”ギターの素晴らしさを感じたギタリストによってこの作り方が浸透し、普及したと思います。まさに革命!

        

       

      このギターをリポートしましょう。表はシダー(杉)のダブルトップ。サイド&バックはハカランダだと思われます。柾目材の良品です。ドイツで”マイスター(親方)”を取得できたほど作りの腕前は確かなものでした。

        

      マティアス・ダマンもいい作りでしたが、この二人は甲乙つけ難い完成度です。

       

      サイドモニター用のホールが開いています。ブリッジもハカランダ製で弦通し穴は”ダブルホール”仕様です。

        

       

      ヘッド。ネックの接ぎ方はドイツの伝統的来な方法ですが、その精度の高さは同じ職人としてほれぼれするレベルです。ペグも最高級品です。

        

       

      ネックジョイント部はレイズドフィンガーボード仕様でハイポジションの演奏性能向上と弦振動の効率化のため採用されていると思います。ロゼットはシンプルながら洗練されていますね。(見た目は大きな特徴ななく派手さもない古典的な仕様です)

        

       

      内部も覗いてみました。細いファンブレイスでしたが、力木の恰好が舟底の先端部のような流線形になっており軽量化からのデザインかと思いました。サイドの割れ止めはクビレ部で支柱のような構造になっていました。カーフリング上下とも溝がないスタイルで、内部は塗装が施されています。

        

       

      内部からライトでダブルトップ構造を透けて見よとうとしましたが、表側に透けて見えませんでした。ということは案外無垢板が上下とも厚め(ダマンは透けて見えた)だと思われます。しかしながらそのトップ反応はすばらしく、弦をつま弾かなくても話声にさえトップが反応し振動してしまうほどでした。

      修理の際にダブルトップの生みの親が作ったギターを観察/研究させてもらい、ますますその奥深さに はまった感じであります。

       

      クラシックギター修理 インデックス http://blog.9notes.org/?eid=648

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      2019.05.05 Sunday

      リペア ファイル その535

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        ギブソン LPカスタム’90 /   タッチアップ塗装・フレットすり合わせ

         

        先回の’80レスポールカスタムに続いて'90のヘッドのタッチアップ塗装を行いました。この個体はくすんだオレンジ色が載っていてとても渋いのですが、その色合わせに難儀しました。

         

        破損したヘッド右肩に、すでに新たなバインディングが接着されていたので、その部分を全体のトーンに合わせて「部分色合わせ」します。(同じようなバインディング素材に試し塗りを繰り返し色合わせを確認してから、本体のタッチアップにのぞみます)

          

         

        部分タッチアップが定着するようにクリアーを載せています。ただしあくまでオリジナルに沿うように自然に自然に・・・

         

        完成。   (ラッカー塗料をもっと自由自在・変幻自在に使えたらと思う次第です)

         

        ネックにやや難があったので修正します。すでにフレットをオーバーバインディングで打ち直してありましたが、指板調整に無理があったのとフレット浮きが見受けられました。「フレット浮き」を修正してからフレットピークでストレートが出るように「フレットすり合わせ」を行いました。

          

        フレットピークで直進性が出た後、台形になったフレットピークを半丸ヤスリやZファイルを使って頂点を再び切り出してから、

         

        粗い番手から細かい番手までの番手違いのペーパーを各種使いフレットを磨き上げて行きます。最終的にはピカピカに仕上げます。

          

        フレットピークに波があると「音詰まり」や「ビビり」の原因になります。特にチョーキングした際に音が消えるようでは、フレットピークが不揃いであると考えていいでしょう。

         

        貫禄のレスポールカスタム。先回HM系のギタリスト御用達とリポートしましたが、ひと昔前ならキース・リチャーズとか鮎川誠の名が浮かんでくる“ブルージーなロックギター”だと覚えておいてください。

        (ひと昔と書いてしまいましたが、70代のブルースマン・キースも鮎川もまだまだ現役ですから・・)

         

        ギブソンギター修理 インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=631

         

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        2019.04.30 Tuesday

        リペア ファイル その534

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          ギブソン LPカスタム’80  / ヘッド欠け・接着・バインディング巻き・タッチアップ塗装

           

          ”ブラックビューティー”レスポールカスタムはぶっとい音がするけど、重い。そのため何かのきっかけでぶつけると、大きく破損することが多いです。特にヘッドはやられる可能性が大で、この楽器は角が取れてしまってました。

           

          破損個所。取れたピースはおおかた保存されていました。こうであれば修復しやすいです。

            

          ただバインディングは失われていたので作り直さないといけません。

           

          LPカスタムはゴージャスな作りなのでバインディングも複線です。同じような素材からオリジナルに似せて足して行きます。側面をくっつけたら、ヘッドの角の部分を留め(45°)に加工して、頭の部分もそこに合うように加工します。(と簡単に書きましたが、数ミリのピースを合うように作るのは難儀しました・・・予定時間を完全にオーバー)

            

           

          なんとかピッタリ合ってくれました。バインディングには古いオリジナルに合わせて着色してから、側面には黒色を吹き付けて、補修した部分にタッチアップ塗装でクリアーを吹き付けました。

            

           

          完成。古く見せたいのでピカピカにはしないように・・しました。

            

           

          ブラックカラーにはゴールドパーツは似合いますね。LPカスタムは基本的に”マホガニー”で作られていますが、軽いマホガニーでなく重いマホガニーを敢えて使用していると思われます。(軽いのはヒスコレなどに使うんじゃないかな)

            

          ギターは重い方がレンジが広くなる傾向があり、重低音は重くないと表現できないでしょう。そのためローを重視するヘビメタ系にLPカスタムが使われることに納得。

           

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          2019.04.26 Friday

          リペア ファイル その533

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            Maruha F-120M  /  ・サドル交換(弦高調整)・ナット交換・指板・全体クリーニング・糸巻交換工賃

             

            「幻のギター」とも呼ばれている国産マルハ製のフォークタイプギター(OMサイズ)。これを当工房設立当初からお世話になっているからshopからリペアを託されました。アコギ・クラギには精通されているのでこちらも何かと勉強になっています。このマルハもそうです。

             

            糸巻(ペグ)が経年変化でガタが来ていたので、ロトマチック式のペグに交換しました。糸巻は消耗品とお考え下さい。

              

            ”Maruha ”のM字のロゴにト音記号(🎼)が入っていますね。

             

            サドルを牛骨に交換。サドル溝にピッタリに成型したらゲージで高さを決めます。ブリッジピン穴が丸く開いていただけなので、これではピンを引き抜くいですから、

              

            面をとっておきます(1〜3弦まで面取ったカット)

             

            ブリッジの弦用の溝が切ってなかったので専用のブレードを使って切っています。その後、低くなったサドルまで弦の誘導溝をブリッジ上面にトリマーで加工しておきます。

              

            このような作業でサドルへテンションが掛けることができるようになります。

             

            ナットも牛骨で新調。依頼主によるとマルハのギターは0フレット仕様が定番なので、それがないこの楽器は珍しいとのこと。

              

             

            全体をクリーニングして小ぎれいになりました。ネックの状態が良い個体でしたのでストレスなしに演奏に入っていけます。古い日本製のギターは『弦高が高い』ことが多いので、ネックの”順反り”がひどくない楽器は再生の可能性が大です。(費用があまりかからないという点で)

              

             

            その出音は乾いて軽やかで演奏が楽しくなるものでした。「名器」と呼ばれるメーカー・銘柄でも”手を入れてなんぼ”です。あなたの周りにある「名器」をメンテナンスとリペアで復活させてください。その音にきっと驚かれますよ。

             

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            2019.04.20 Saturday

            リペア ファイル その532

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              マーチン D−28 / バインディング剥がれ・ピックガード作製・交換

               

              しばらくぶりにギターケースを開けてみたら、ピックガードがズレてバインディングは剥がれていたそうです。湿度か熱かで木部が動いたりセルが縮んだりして、こうなったと思われます。こういう事例はときどきありますね。

               

              ピックガードは一回り大きいものを新規に作製。日焼け痕がラインを残しているのでそれに倣って作りました。

                

              (ピックガードの作製は簡単なようですが、きっちり作るとなるとそれなりに手間と時間がかかります。http://9notes.jugem.jp/?eid=780

               

              ピックガードは黒の塩ビ製です。

               

              裏板側のセル製のバインディングが3か所外れていました。こういうケースでは両腰のところが外れますね。片側はそのまま引っ張手も戻らないほど縮んでいたので、途中でバインディングをカットしてから接着します。

                

               

              接着剤を入れてバインディング用のテープで押さえてから型木で全体をクランピングします。そのまま一晩固定。

               

              カットして短くなって隙間ができたバインディングは、同じ素材をそこに合うように切り揃えて詰めて接着します。

                

               

              バインディングとバック本体の目違いをはらってから細かいペーパーで磨いておき、バフで磨き上げたら完成!

                

              (このような作業を合計3か所行っています)

               

              ”28(ニッパチ)”に使われるローズは柾目のいいモノが標準装備されています。こんな芸当が出来るのはマーチン社だけでしょう。世界的にローズ規制(ワシントン条約)が行われている中でどこまで持ちこたえられるか。歴史がある会社なので買付の独自ルートを持っているかも知れません。

                

               

              最近は板目の変わった杢をサイド&バックに使うのが流行していますが、板目は反るものなので将来 力木が外れることも考えられます。ましてや白太(しらた:木部の周辺部で養分や水分が多いため腐りやすく弱い)をブックマッチの中央で剥ぐのは、木工では御法度なんですがこれも流行っています。うーん。

              ローズに代表される有限な天然素材・希少木材を末永く使っていくために、制作にかかわるそれぞれが知恵を出し合って守っていきたいです。

               

              関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

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              2019.04.16 Tuesday

              リペア ファイル その531

              0

                フェンダーJAPAN・テレキャスター /  フレット交換(リフレット)・ナット交換・指板塗・リアPU交換

                 

                メイプル指板のリフレットは、指板面への塗装作業が伴います。その際、ヘッドやネック裏の塗装の焼け色あるいは着色してある指板・ネックの色とサンディングして白っぽくなった指板面の色合わせが、リフレットのミソとなります。

                 

                フレットを抜き去って指板調整しています。塗装面を削り落とした後、メイプル指板の長て方向のストレート性と指板のアールを定規を使い確認しながら削っています。

                  

                 

                指板のアールに合わせてフレットにも専用道具を使いアールを付けてから一本一本打ち込んで行きます。(フレットの脚/タングも調整しながらの打ち込みでネックの剛性アップを計っています)

                 

                塗装です。ヘッドとの色合わせをしながらアンバー系の色で着色しています。色合わせが終わったらに肉付けするためサンディグシーラーを重ね、最後はクリアーを載せて仕上げます。

                 

                フレットピークを整えるため「すり合わせ」します。同時にフレットに載った塗装も剥がします。(フレットに塗装が載ったままだとミュートしたような音になってしまいます)

                  

                専用ファイルでフレットに丸みを付けた後、フレットをペーパー各種で磨きあげて行きます。

                 

                完成!

                  

                メイプル指板のリフレットは、塗装込みになるので若干作業代金が高めの設定になっています。(ローズ指板より維持費がかかることを理解したうえで、メイプル指板のギターを購入されるといいかと思います)

                 

                ナットも交換してあります。

                  

                 

                リアピックアップもシングル形状のダンカンのHM(JBモデル)に載せ替えました。これでフロント・リアともHMでポジションによる音量差も解消されたことでしょう。フロントHMでリアシングルだとフロントの音量が大きくなってしまいがちですからね。

                  

                それでもかつてはキース・リチャーズとかアンディ・サマーズはうまく使いこなしていましたが・・・ジェフベックはPAFを2機載せたテレキャスター・通称『テレギブ』を愛用していたこともありますね。本機はこれに近いように思います。(相変わらず私のコメントは古いな・・・)

                 

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                2019.04.12 Friday

                リペア ファイル その530

                0

                  ヤマハ SF3000  /  ポット交換

                   

                  現役のジャパンビンテージ ”ヤマハSF3000”です。’80年代製だというこのタイプは私も初めて見ました。オーナーはいろんなギターをお持ちですが、使いやすさからずっとこれをメインにして来たとのこと。本機に代わってお礼を言いたいくらいです。

                   

                  ヴォリュームポットが耐久年数を超えたのでしょうポストが抜けてしまいました。ポットを交換しました。国産ポットから米国製CTS社のミリタイプのを取り寄せてポット交換しました。(通常のCTS/インチサイズだとノブが入らなくなるので)

                    

                   

                  トーンポットは2段式(on-on)になっていて、PUがシングル⇔ハムバッカーの切り替え(コイルタップ)ができるようになっていました。

                    

                   

                  ついでにジャックもクリーンナップしておきました。アウトプットジャック本体は国産の高級品が使われています。

                    

                  プレートはボディのアールに合わせて曲げてあります。芸が細かい!

                   

                  ヤマハが開発したシンクロタイプのトレモロユニットは、アームの差し込み位置がサドルより後ろにあるため微妙なアーミングがやりにくいとのこと。本家のフェンダー品に軍配が上がりそうです。

                    

                   

                  1PU/1V/1Tのシンプルな設定。リア一発でOKなプレーヤーはこれで十分だとか。(これにシングルとハムの切り替えができれば、どんな楽曲でも対応できるのでしょう)

                   

                   

                  ヘッドデザインははSGと共通ですね。大きな傷もなく大切に弾かれた来たチェリーサンバーストのSF3000、30年以上弾き込むとPUも材木も自然と枯れて来て温かな音です。音楽的な表現力も増しているように感じます。

                    

                  国産ヴィンテージは、海外でも人気が出てきて流出している様子です。基本設計がしっかりしているメーカー品は、どこへ行っても通用すると思いますが、できれば国内で評価されて使われるようになるといいですね。

                   

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                  2019.04.08 Monday

                  リペア ファイル その529

                  0

                    BURGIN GUITARS  / トップ膨らみ矯正・補強

                     

                    ニュージーランドの個人製作家/ルシアーによる”ワイゼンボーン”スタイルのスティールギターです。オールコア単板仕様で、大変よくできた楽器でしたが、トップのブリッジの後ろ辺りが大変膨らんでいました。

                    もともと弦高は高い設定ですので弦高にはあまり関係しなかったですが、別のトラブルを生む原因になりますので矯正しました。(音もデッドになりやすい)

                     

                    力木(トーンバー)とエックスブレイジング中間が膨らんでいます。ボディ内を湿度調整しながらトップから力を掛けて矯正します。その際、ほんのわずか熱も加えてやると戻りがいいです。(ただし気をつけないと塗装が熱でやられて取返しのつかないことになりますので、十二分に注意します)

                      

                    これを何日も繰り返し、トップを少しずつ下げて行きました。

                     

                    矯正できたら戻らないようにブリッジプレートを増設してやります。(なるべく軽くそれでいて強くフレキシブルであること)

                      

                    接着します。

                     

                    完了しました。

                     

                    ワイゼンボーンスタイルの特徴は、楽器を膝に乗せてスライドバー弦を押さえて演奏することです(指板にフレットはなくスジが入っている)。内部はネック下も空洞になっていてアコースティックサウンドがよく響く構造になっています。

                      

                    依頼者はこれにマグネットPUをつけて出力していますね。

                     

                    オープンコードをボトルネック奏法で奏でる楽器ですが、日本ではまだまだあまり普及していません。その奏法による独特のサスティーンが生むサウンドは、人の琴線に触れてどこかの楽園にいざなわれる感じを受けると思うのは私だけでしょうか?

                      

                    ハワイもいいな。ニライカナイもいいな。でも極楽浄土はまだ早いな。

                     

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                    2019.04.03 Wednesday

                    リペア ファイル その528

                    0

                      Gibson L-00 /  ネック傷タッチアップ・ネック塗装

                       

                      1937年製のギブソンL-00です。御年87歳のヴィンテージギブソンですが、最適なリペアが施されており大変いい状態(トップの膨らみはありましたが、それを考えての処理がしてありました)でした。リペア痕を見ればどのぐらいの器量の仕事か分かりますが、この楽器は1流の仕事がずっとされており、そのためこの楽器が残っているのだと感じました。

                      過去の仕事からこちらが学ばされること大です。

                       

                      ネック塗装に数か所 傷があったので”タッチアップ”で修正しています。お預かり時間も十分いただいていたので、塗装痩せも計算しながら作業できました。

                       

                      ネックの艶とボディの艶が少し合わなかったので、ネックを”ややつや消し”塗装して全体のトーンを合わせています。(過去にオーバーラッカーが施されていた)

                       

                      ネックは手で触るので艶が上がることを考慮して”艶けし”具合を調整しています。

                       

                       

                      ”ひょうたん”のような小ぶりなボディでトップは3ピース仕様、完全なブックマッチでなかったです。私はブックマッチがすべてだと思っていなかったので「我が意を得たり」とうれしくなりました。

                        

                      ラダーブレイシングゆえトップが膨らんでいましたが、(リセットによる)ネック仕込み角度とブリッジの再接着により、弦高は最適化されていました。

                       

                      ヴィンテージスタイルのヘッドに3連ペグ交換がされていました(ブッシュも古いタイプ)。ただ、ギブソンはヘッドの厚みが一定でなくくさび状になっているので、裏側からペグポストを差し込むとヘッド表面に対して斜めに入ってしまいます。これがペグの故障の原因になっていますが、そういう設計なので修正できません(なぜこういう設計なのか?ヘッドの厚みは一定にすべきですね)

                        

                      ロングサドルにはオフセット加工がされて、弦長も補正されていました。

                       

                      ダイネミックレンジは広くないですが、いわゆる”枯れたサウンド”でこの楽器にしか出せない音色を持つオンリーワンのギターでした。楽曲によってはすごい表現力を持つでしょう。

                        

                      ギターはヴァイオリン属に比べて修理がしにくい構造ですが、我々リペアマンが知恵を出し合い”ヴィンテージギター”をさらに100年以上残せるように頑張りたいです。

                       

                      ギブソンギター修理 インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=631

                       

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