2018.07.13 Friday

リペア ファイル その472

0

    マーチン D-18 / ネックヒール修理・ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ・駒上面削り・サドル調整

     

    若い時はセオリー通りに修理しないと機嫌が悪くなったりして「もうリペアはヤダ!製作家になる」なんて思ったりしたものです。”不惑”の歳を過ぎたあたりからは、「それぞれ事情があるから、その中でベストを探ろう」と考えるように変わって来ました。自分の車をなじみの自動車整備屋さんに持ち込むときは「ここだけ直してね」とフトコロ事情で頼んだりしています。

     

    弦高が高くて弾けなくなっていました。ヒール部が浮いているので本来ならば「ネックリセット」で仕込み角度を変更してやらねばなりません。しかし、ここではちょっと変則のやり方で対処することにしました。

     

    ヒール部の隙間にクサビ状の薄板を差込みニカワで接着することに。

      

     

    将来「リセット」するとき、外しやすくすることも視野に入れながらの処置です。

      

     

    ヒール部が固まったので、アイロンで矯正します。何度も温度や角度を変えながら少しずつ矯正してやります。「く」の字になっていましたので「一」の字になってくれれば”おんの字”としました。

     

    フレットも結構減っていましたが「すり合わせ」でフレットピークを修正します。

      

     

    「すり合わせ」してペタペタになったフレットを 三角ヤスリで端から攻めて半丸に仕上げました。ヤスリ傷はペーパーの番手を粗い♯180から細かい♯1500まで何枚も変えながら磨いて行きます。

      

     

    仕込み角度が不十分なので、ブリッジ(駒)側を削って下げます。これは弦高を下げるためサドルを削って下げると、ブリッジピン穴との落差がなくなってしまうときに、おこなう処置です。つまりサドルより駒の上面は低くないといけないのです。

      

     

    完成。変則修理でしたが何とかうまく治まってくれました。米国で入手してD-18だそうですが、国内のものとリングがちょっと違いますね。(1重目と3重目が細い黒)

      

     

    マーチンは修理がしやすいギターです。ニカワ接着やらラッカー塗装やらが修理に有利なのですが、各パーツの加工精度が高いのもその理由です。持っていればまた手を入れて次ぎの世代に受け継がれて行くでしょう。

    マーチンギターには老舗というだけでは説明できない、ほかにはない「付加価値」を感じますね。

     

    関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

    ---------------------------------------------------------

     

    「お問い合わせ」は 9notes@huni.enat.jp または 080-2660-2284 まで

     

    9notes ホームページ


    ブログ「よごれた顔でこんにちは」

    homeで新着情報 ”ほぼ毎日”つぶやいています

    「栃の耳付き材のテレキャス」販売

    にほんブログ村 音楽ブログ ギターへ
     

     FC2 Blog

                                                                              ギター工房9notesは岐阜・恵那インターチェンジより車で15分

     

     

     

     

    2018.07.09 Monday

    リペア ファイル その471

    0

      エピフォン Casino Coupe / スモークド乾燥処理・ブリッジ交換・アッセンブリー交換

       

      先回のTakamineといっしょに「スモークド乾燥」処理したエピフォン・カジノクーペ。小ぶりなカジノです。

       

      「スモークド乾燥」とは、ギターを煙で燻して音響効果改善を図る処理のことです。煙は熱を木材の内部まで運ぶことが知られています。そのときに木材の細胞になるリグニン・セルロース・ヘミセルロースの構造に変化が起り、音伝導率がアップし、剛性もアップすると考えています。(実際に科学的なデータを取っていませんが、効率的な乾燥方法として古くから行われた技術です。それを自作の窯で実験を繰り返し、その効果に確信を得ました)

      「スモークド乾燥」処理の効果として「音量のアップ」「反応速度が早くなる」「サスティーンが長くなる」などがあります。

       

      30時間強「スモーク」したエピフォンカジノクーペ、全体にヤニが付着しています。それをエチルアルコールで拭き取ります。その後、バフで磨いて仕上げてます。

        

       

      ”チューンーO−マティック”ブリッジが装着されていましたが、オクターブチューニング幅が狭いため、もっと正確にチューニングできる”ナッシュビル・タイプ”のブリッジに付け替えました。ブリッジピンの径が違うため一端穴埋めしてから、穴を開け直しました。(ブリッジ下も中空でした。センターブロック付きよりもホローボディ率が高い楽器です)

        

       

      おそらく韓国製だと思われるアッセンブリ一式を米国製のものに交換しました。(CTS製のポット・スイッチクラフト社製のトグルスイッチ・同社アウトプットジャック・オレンジドロップコンデンサー・ベルデン社製配線材)

        

       

      弦はトマスティックのジャズギター用のフラットワウンドを張りました。ブランコテールピースなのでサスティーンは短め、これがジャズには合いますね。

        

       

      交換した”ナッシュビルタイプ”のブリッジ。サドルの可変範囲が広いのが特徴です。いろんな弦に対応できますね。(ジャズ弦の3弦は単線でない)ピックアップはドッグイヤータイプのP-90が載っています。ニッケルシルバーカバーは外来ノイズにも強いです。

        

       

      ヘッドは面長のタイプ。カジノのヘッドはこれじゃなきゃ。クーペはカジノより一回り小さいので取り回しが、エレキとほとんど変わりません。扱いやすくていい感じです。軽いし。

        

       

      出音は、オリジナルよりワンランクもツーランクもアップしています。生音も大きくなっています。上位モデル”エリーティスト・カジノ”にも負けないですよ。アンプを通してフロントを鳴らせばもうそれはアーチトップの音です。これはいいです。

       

      ---------------------------------------------------

       

      「お問い合わせ」は 9notes@huni.enat.jp または 080-2660-2284 まで

       

      9notes ホームページ


      ブログ「よごれた顔でこんにちは」

      homeで新着情報 ”ほぼ毎日”つぶやいています

      「栃の耳付き材のテレキャス」販売

      にほんブログ村 音楽ブログ ギターへ
       

       FC2 Blog

                                                                                ギター工房9notesは岐阜・恵那インターチェンジより車で15分

       

      2018.07.05 Thursday

      リペア ファイル その470

      0

        タカミネ / スモークド乾燥処理・フレットすり合わせ・ブリッジ裏補強(弦アース加工)・PU取り付け

         

        持参された2本の楽器をいっしょに「スモークド乾燥」処理をしました。その上でそれぞれ調整・リペア・改造を施しました。このタカミネはJapan製ではないですが、依頼主がずっと気に入って使ってくれていました。少々トップに膨らみが出ていましたので、そこも修正しました。

         

        30時間以上「スモーク窯(かま)」で薫煙してあります。仕組みは「スモークドチーズ」を作るのと同じようなものですが、楽器全体に煙が回るように位置や向きを変えながら行っています。そのため結構大きな窯が必要です。その中でニカワが溶けない程度に温度を上げて煙の量と熱量を調節しながら、薪をくべて火加減しています。

          

        うっすらヤニがボディに付着するのでエチルアルコールで拭き取り、そのあとバフで磨いて仕上げます。

         

        ブリッジの後ろやや膨らんでいます。それほど顕著でないので「トップ矯正」は行わず、ブリッジ裏のプレート部を補強しながら弦のボールエンドの位置を下げて、サドルに掛かる力を増やそうと考えました。同時に「弦アース」も取っておきます。

          

         

        エレアコ化するためにLR baggsの「LYRIC」を取り付けることに。このときにブリッジプレートに付けた弦アースをプリアンプに繋ぎノイズ対策をしました。

          

         

        使いこんであるのでフレットも磨耗しています。指板の狂いは出ていないので、フレットピークを低いフレットに合わせて削って行きます。轍(わだち)の底まで削りますのでフレットは台形になっています。それを三角ヤスリを使って、再び山頂のあるフレットに削り出します。

          

         

        その後、ヤスリ傷を各種ペーパーを使って消しながらピカピカになるまで磨いておきます。

         

        「タカミネ」のドングリ頭のヘッドではなく、マーチンに似せたロゴとヘッド。一時、ギブソンとマーチンのヘッドを足して2で割ったようなヘッドをタカミネが採用していた時期(イーグルスが使っていた)がありますが、それとも違いますね。ドレットノートにカッタウエイは現在も定番。

          

         

        ピックガードはマーチンのそれより少し角ばっています。

        出音はスモークド効果で音量があり反応が早くなったとコメントを頂きました。特筆ものはそのノイズの少なさでエレアコに弦アースの効果は大です。エレキでは当たり前なんですけど、エレアコではまだまだ少数派です。

         

        次回はもう一本の「スモークド乾燥」処理したギターのリポートです。

         

        ----------------------------------------------------

         

        「お問い合わせ」は 9notes@huni.enat.jp または 080-2660-2284 まで

         

        9notes ホームページ


        ブログ「よごれた顔でこんにちは」

        homeで新着情報 ”ほぼ毎日”つぶやいています

        「栃の耳付き材のテレキャス」販売

        にほんブログ村 音楽ブログ ギターへ
         

         FC2 Blog

                                                                                  ギター工房9notesは岐阜・恵那インターチェンジより車で15分

         

        2018.07.01 Sunday

        リペア ファイル その469

        0

          Mntthins  Dammann 2012 /  各種調整

           

          マティアス・ダマン Ceder Top(杉)を調整したおり、隅々まで観察したのでそのリポートをさせてもらいます(持ち主に承諾を得ています)。ダマンは世界ではじめて”ダブルトップ”のクラシックギターを完成させました(ゲルノット・ワグナーの協力による)。ダブルトップとは、表板の中にNomexハニカムコアがサンドイッチされていて強くて軽い表板材のことです。

           

          剛性と軽さを合わせ持つトップは、音量のアップ、反応速度のアップ、遠達性のアップ、ダイナミックスレンジの広さアップを実現させました。これらは現代的な演奏に求められるものでしたので、瞬く間に世界の一流クラシックギター演奏家に支持されることになります。

            

           

          また演奏性もアップされています。レイズドフィンガーボードもそのひとつであります。ハイポジションでの演奏性がよくなりました。また表板に対しての進入角度の変化が弦振動ロスを減らす効果もあり音量・音質がアップされることにもなりました。

            

          フレットは背の高いジャンボフレットが使われています。これによりフィンガリングが楽になり早いパッセージに対応しやすくなります。また音の立ち上がりがよくなりました。

           

          ヘッドのジョイントは、ハウザーなどに見られる伝統的な”継ぎ”が施されて高い木工技術を誇っています。外部・内部とも1級の技術で完成させていて優れた工芸品でもあります。ネックヒールは一本竿で継ぎなし。深くえぐれているので操作性も高いでしょう。

            

           

          ヘッドのスリットはナット側で四角く深いため弦が当たることはありません。シャーラーの最高峰の糸巻き。軸受けにはベアリングが採用されています。

            

           

          特筆すべきは表板です。下から強めのライトを当てると透けて見えます。私が多く扱う中国人製作家”クォーユロン”のものより粗めのNomexコアが採用されています。力木が当たる部分は元の材がザクられず残されている?

            

           

          駒下に縦目に対して直角に取り付ける力木はなく、代わりに高音側にパッチが2枚、低音側にバーが取り付けられています。力木はサウンドホール下からエンドに向かって垂直方向に対して少し斜めに3本平行に並んで取る付けられています。こんな力木の構造は初めて見ました。

            

           

          スペイン式のネックジョイントではなくドイツ式だと思いますが、そのネックブロックの形はこんな船の先端のような形になっています(理由はなんだろう)。またトップとサイドを繋ぐラインニング/ペオネスにはバルサ材の太くて広めのものが貼り付けられていました(表板の振動面積が狭くなるのになんでだろう。強度の問題か?)

            

           

          力木は細くて背の低いものでした。サイドはローズ/シープレスの合わせが採用されています(ラミレスみたいだな)。

            

           

          ブリッジの弦穴はダブルホール。口輪飾り(ロゼット)は細い色違い板材を何重も巻いただけのシンプルなものでした。高い技術と最新理論に裏打ちされたダマンは、演奏家だけでなく職人をも魅了します。

          日本国内ではまだまだ普及率が低い”ダブルトップ”ですが、真空管がトランジスタに置き換えられていったように、後10年でその勢力分布に変化がおこるだろうと私は考えています。

           

          クラシックギター修理 インデックス http://blog.9notes.org/?eid=648

           

          -------------------------------------------------------

           

          「お問い合わせ」は 9notes@huni.enat.jp または 080-2660-2284 まで

           

          9notes ホームページ


          ブログ「よごれた顔でこんにちは」

          homeで新着情報 ”ほぼ毎日”つぶやいています

          「栃の耳付き材のテレキャス」販売

          にほんブログ村 音楽ブログ ギターへ
           

           FC2 Blog

                                                                                    ギター工房9notesは岐阜・恵那インターチェンジより車で15分

           

          2018.06.27 Wednesday

          リペア ファイル その468

          0

            マーチン HD-28  /  フレット交換・ナット交換

             

            ”ブルーグラス”奏者のマーチンHD-28。グレードアップのため少し手が加えられています。今回はネック関係のトラブルのため送られて来ました。点検後に依頼主とやり取りし、「フレット交換」(当工房はナット交換もこの作業に含まれる)することに落ち着きました。

             

            指板面で若干の仕込み角度変更(ナット側を少し下げる)を試みます。すでに一度「フレット交換」されたことがあるので、あまり多くは削れません。ハイフレット部はわずかの修正で仕上げました。フレットの脚(タング)の深さをノコギリで調整。(糸巻きのポスト先に黄色のテープが張ってあるのは、作業中にブッシュが落ちて無くなることを防ぐため。これが落ちで探すのに苦労してことがあるのです・・・)

              

             

            ネックの下の金床の上にゴムを敷いてフレットを打ち込みます。硬いところで打ち込むと食い込みがよく、また跳ね返りになさが違います。ハイポジはアーム付きの金床を使って打ち込んでいます。

              

             

            フレットの頂点を平ヤスリで整えてから再び山頂をつけ直し、ペーパーの番手を変えながら磨いて行きます。

              

             

            ナットも牛骨で新調します。 ハイポジションに向かってやや下がっています。これは前のリペアマンが取った手法でそのままにしてあります。ハイポジのコンディション維持には向いた加工ですね。

              

             

            ピックアップはサンライズとコンタクトピエゾのデュアル対応になっていました。サンライズPUは押尾コータロー使用で評判になりましたが、大変いいPUでノイズもなくクリアーな音です。ただほかのマグネットPUに比べて値段が高いので、普及しているほどではないです。パッシブなので出力が低いのでプリアンプが必要ですね。

             

            ヘッドの角が丸くかわいい顔つき。ウエーバリーのバタービーンズノブの糸巻きに交換されています。

              

            サドル高をほとんど変更することなしに弦高も適正に。

             

            依頼主は、このPUシステムにもまだ納得されていない模様で「何かいい案はないか」と質問されました。ほかの多くのお客様も同様の不満を抱いており、アコギを生で弾いたときとPAで出力された音との落差はなかなか解消されません。

              

            そうであるからか、最近はPUを使わずマイク1本立てて音を拾う昔のやり方を試みる人が増えていると聞きます。マイクで音を拾うのはそれはそれで難しいのですが、一番生音に近くナチュラルでエアー感を損なうことなくPAで出力/拡声できます。動かないで演奏するならこのスタイルもいいかも知れません。

             

            関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

             

            ---------------------------------------------------

            「お問い合わせ」は 9notes@huni.enat.jp または 080-2660-2284 まで

             

            9notes ホームページ


            ブログ「よごれた顔でこんにちは」

            homeで新着情報 ”ほぼ毎日”つぶやいています

            「栃の耳付き材のテレキャス」販売

            にほんブログ村 音楽ブログ ギターへ
             

             FC2 Blog

                                                                                      ギター工房9notesは岐阜・恵那インターチェンジより車で15分

             

            2018.06.23 Saturday

            リペア ファイル その467

            0

              ヤマハ FG-110 /  ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ・ナット交換

               

              楽器というものは、簡単に捨てられないものでいつまでも物置や押入れの隅で眠っていたりするものです。このギターもその類のものでしょう。親譲り品でした。

               

              ”赤ラベル”のFG−110です。60年代後半から70年代前半に作られましたが、ヴィンテージ感満載。オール合板ですが、直せば味のある音のギターですので 弾けるようにリペアしました。

               

              ネックの反りがひどいので弦高が高くなっていました。「アイロン矯正」で”順反り”と”仕込み角度”を修正します。次ぎにフレットを「すり合わせ」します。かなりフレットも磨耗していますが、「交換」までは求められませんので「すり合わせ」で何とかしました。

                

               

              低いフレットに各種ヤすりを駆使して山頂(ピーク)を再びつけ直します。ご覧の通りフレットも磨いてやればきれいになります。

                

               

              ナットはヘタっていたので新調しました。牛骨ブロックをピッタリの大きさに加工して、指板のアールに合わせたラインを半円のエンピツで写します。(1ミリの薄板の上にエンピツを置くと、そのラインまで上面を削ることができます)

                

               

              弦高が下がりましたが、サドルはいじっていません。(反りの修正と仕込み角度変更によって弦高が下がったことになる)

                

               

              レトロな雰囲気のヘッドとブリッジ。この角ばったラインがいいですね。サドルの6弦側の弦長補正がしっかり取られています。

                

               

              サウンドは柔らかく清々しい感じでした。OMタイプのボディですので低音側は期待できませんが、中域から高域のコード感がよく音がぶつからず通ります。たまに単音はいいがコードで音がつぶれるギターがありますが、このギターは経年変化でこなれたためかどちらも音が立っていました。

               

              -------------------------------------------------

              「お問い合わせ」は 9notes@huni.enat.jp または 080-2660-2284 まで

               

              9notes ホームページ


              ブログ「よごれた顔でこんにちは」

              homeで新着情報 ”ほぼ毎日”つぶやいています

              「栃の耳付き材のテレキャス」販売

              にほんブログ村 音楽ブログ ギターへ
               

               FC2 Blog

                                                                                        ギター工房9notesは岐阜・恵那インターチェンジより車で15分

               

              2018.06.19 Tuesday

              リペア ファイル その466

              0

                ギルド F-30 1997 / ネックアイロン矯正・フレット交換・ナット交換・サドル交換(オフセット加工)

                 

                メールにて「表板の膨らみや落ち込み」「低いサドル」「フレットの摩耗」などいくいつかの点検要項を戴いています。実際送られて来た楽器を診て「表板の膨らみ」に関しては問題ないとお答えしました。その上でほかの必要な作業を施すことになりました。

                同時にサウンドの改善も図ります。

                 

                まず、弦高を下げながらサドル高を上げるため「ネックアイロン矯正」します(「仕込み角度」修正のため) フレットを交換することになりましたので、フレットを抜いてからアイロンを掛けています。アイロンで矯正してから指板調整しますので、反ったネックの指板をたくさん削り過ぎることを避けられます。

                  

                 

                ミディアムフレットのjescar♯5509を打ち込んでいます。フレットの頭をストレートなヤスリで頭の高さが同じになる様に整えておきます。(新品のフレットですのでわずかですが・・)

                  

                 

                フレットの頭(ピーク)がヤスリで少し平らになったので、再び尖った頭になるように半丸ヤスリや三角ヤスリで切り出します。その後、ヤスリの痕をペーパーで擦ってキレイにし最終的に磨き上げておきます。

                  

                 

                ナットも新調します。ナットの弦溝の間隔はなるべく前のナットと同じにしています。サドルも新調しました。元々アンダーサドルピエゾが仕込まれていましたがそれを外し、新たなサドルがブリッジの底から立ち上がっています。どうしてもサドルの下に敷くピエゾは弦振動を吸収してしまうので、これを外すと音の輪郭がよくなりますね。

                  

                 

                完成。サドルはオクターブ調整済み(オフセット加工)。

                  

                 

                Dタイプヘッドとは違うヘッドがスマートなタイプ。インレイのデザインがアメリカっぽいなぁ。

                  

                 

                弦高を下げながらサドルの出がアップしました。サドルの出は音量アップに繋がります。もう少しローが出るようにしたかったのですが、F型はボディ厚が薄いためそこは難しかったぁ。(マーチンでいうOMタイプ)

                依頼主より、ほかからの引用だとお断りをもらいましたが、面白い比喩だったのでここで紹介させてもらいます。

                ギルドのサウンドを 「豆腐で例えると、島豆腐guild >木綿豆腐gibson >絹豆腐martin 」

                見事にギルドの”素朴なサウンド”を表現しています。こうだから世界中にギルドのファンがいるのですね。

                 

                 

                -----------------------------------------------------

                「お問い合わせ」は 9notes@huni.enat.jp または 080-2660-2284 まで

                 

                9notes ホームページ


                ブログ「よごれた顔でこんにちは」

                homeで新着情報 ”ほぼ毎日”つぶやいています

                「栃の耳付き材のテレキャス」販売

                にほんブログ村 音楽ブログ ギターへ
                 

                 FC2 Blog

                                                                                          ギター工房9notesは岐阜・恵那インターチェンジより車で15分

                 

                 

                2018.06.15 Friday

                リペア ファイル その465

                0

                  モーリス W-100D/ ネックアイロン矯正・フレット交換(オーバーバインディング)・ナット交換

                   

                  ”縦ロゴ・MORRIS”はモーリスの上級機種でしたね。70年代に一世を風靡したコピー「モーリス持てばスーパースターも夢じゃない」で かまやつひろし氏が持っていたのも縦ロゴ・モーリスでした。この機種は”堀内孝雄モデル”のようです。

                   

                  この頃のかまやつさんは地毛だったのかなぁ。

                     

                   

                  ネックの状態がよくなく弦高が高くなっていました。フレットも交換時期だったのでネック・フレットの「オーバーホール」をしました。「元起き」状態だったのでフレットを抜いてから「ネックアイロン矯正」で修正しました。

                    

                   

                  次ぎは指板を調整します。指板全面に貝のインレイが入っているので指板をあまり強く削れません。なので「アイロン」であらかじめ「矯正」して指板の削る量を減らすようにしています。フレットタングで貝が割れるのを防ぐため切れ込みが広くなっていました。(メーカーの細かい配慮が伺えますね)

                    

                   

                  (ギターが振動しないように鉄板の重しを載せて)フレットを打ち込んで行きます。オーバーバインディング仕様なので端を専用の道具で処理しています。

                    

                   

                  軽く「すり合わせ」してフレットピークを整えて、再び山頂をつけ直し、フレットをピカピカになるまでペーパーやコンパウンドで磨き上げておきます。(「フレット打ち」後に「すり合わせ」しないやり方もありますが、私はやった方が精度が出るので行っています)

                    

                   

                  完成。これだけの貝が入っているとゴージャスですね。

                   

                  ナットも交換します。ナットの高さを決めるには、鉛筆の断面を半分にしたもの(こうするとフレットのピークと同じ高さになる)を1ミリの薄板の上に載せてラインを描きます。次に薄板を外してもう一度ラインを描くと、ナットの上面ラインと弦溝深さラインが決まります。

                    

                   

                  トップはスプルース単板。バックは合板ながらハカランダ/フレイムメイプルの3ピース構造で美しいです。

                    

                  指板上面で仕込み角度の変更がされているので、サドルをほとんど調整しないで弦高を下げることができています。

                   

                  上級モデルだけあって、ダイナミックレンジが広く透明感のある音がしました。永らくクローゼットで眠っていたお宝が復活したので、依頼主にも喜んでいただけました。

                   

                   

                  ------------------------------------------

                  「お問い合わせ」は 9notes@huni.enat.jp または 080-2660-2284 まで

                   

                  9notes ホームページ


                  ブログ「よごれた顔でこんにちは」

                  homeで新着情報 ”ほぼ毎日”つぶやいています

                  「栃の耳付き材のテレキャス」販売

                  にほんブログ村 音楽ブログ ギターへ
                   

                   FC2 Blog

                                                                                            ギター工房9notesは岐阜・恵那インターチェンジより車で15分

                   

                   

                   

                   

                   

                   

                  2018.06.11 Monday

                  リペア ファイル その464

                  0

                    マーチン D-45 VR /   ピックアップ取り付け

                     

                    マーチン社のフラッグシップモデル D-45。品質・材料・仕上げ・音質、どれを取っても最高級であることが求められます。Dタイプはボディマスが一番大きいモデルなので音量やダイナミックレンジが大きいですが、ライブではマイク出力が必要になって来ます。ピックアップを取り付けました。

                     

                    いろいろ考えたあげく、一番無難なLRバックス社の「iBEAN Active」に落ち着きました。大きな改造なしに取り付けられますし、オールマイティなPUですので会場を選びません。後付け型のピエゾPUでアクティブなのでボリュームコントロールもできます。(「Lyric」はエアー感がよくこれも考えられますが「iBEAN 」よりハウリングに劣ると判断しました)

                      

                    「iBEAN」には電池駆動でないパッシブもありますが、こちらはあまりお勧めできません。出力が低くノイズがのりやすいですし、PA側でのコントロールも面倒になりますから。もしパッシブを選んだらプリアンプも必要とお考え下さい。

                     

                    専用のジグでサドル下に位置決めし、両面テープで圧着して固定します。プリアンプ内臓のアウトプットジャックは、エンドピンの穴を拡張して取り付けます。

                      

                     

                    電池バックはネックブロックに取り付けるのが一般的ですが、私はブロック下の裏板に取り付けることが多いです。理由はブロックのロゴやシリアルナンバーが隠れない様にするためと、その位置だと案外電池交換がしにくいとの判断からです。ボリュームコントロールノブはサウンドホール脇で、ここしか取り付ける場所はありません。(これが落ちるケースもありそれが悩み。どうしてもノブを動かすときに下方向にも力が掛かかるのと、スポットライトでトップに熱が帯びるから)

                      

                     

                    45VRのポジションマークはヘキサゴンでなくスノーフレーク/キャッツアイ。サイド&バックは柾目のインドローズ。裏表全体に貝が巻いてあるのが45の特徴ですね。ネックヒールの脇にも入っています。

                      

                     

                    CFマーチンのロゴが指板にインレイされています。トップは目の細かいシトカスプルース。たぶん材料選択の段階でタッピングトーンを聞き、よい響きのものを45に使っていると推測しています。木材は一枚一枚タピングトーンが違うものなので、すぐれた音質を保障するならその作業は必要でしょう。(一度マーチン社に訪れて尋ねてみたいです)

                      

                     

                    縦ロゴとロングサドル。ロングサドルですと、手の込んだ加工をしないとアンダーサドルピエゾを仕込むことができません。ですのでLRバックス社の「Anthem」が容易に選択できないです。

                      

                     

                    グランドピアノのようなダイナミックレンジと煌びやかさがゴージャス感を醸しだします。PU出力ではやや大人しい感じがしますが、アコギ用PUに決定版がないため生音とPU出力した音とは別モノと考えた方がいいでしょう。しかしながら45はさすが45だと感じました。

                     

                    関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

                     

                    ------------------------------------------------------

                    「お問い合わせ」は 9notes@huni.enat.jp または 080-2660-2284 まで

                     

                    9notes ホームページ


                    ブログ「よごれた顔でこんにちは」

                    homeで新着情報 ”ほぼ毎日”つぶやいています

                    「栃の耳付き材のテレキャス」販売

                    にほんブログ村 音楽ブログ ギターへ
                     

                     FC2 Blog

                                                                                              ギター工房9notesは岐阜・恵那インターチェンジより車で15分

                     

                    2018.06.06 Wednesday

                    リペア ファイル その463

                    0

                      ギブソン 1968年製  J-45 / ブリッジプレート増設

                       

                      トップ”妊娠”(表板の膨らみ)を心配されて持ち込まれたヴィンテージJ-45。弦高は問題なくアジャスタブルサドルの可変範囲も適正でした。たしかにやや膨らんではいますが、矯正するまでないと判断しました。矯正し補強材を入れるとサウンドが変化するので慎重な判断が必要です。ただアジャスタブル用のスタッドが前掛かりになっています。サドルをネック側に押し倒す力が長年掛かっていたので傾斜したのでしょう。

                        

                       

                      なので、弦のボールエンドの位置を下げてサドルに掛かる力・作用(ベクトル)を増やす加工を施すことにしました。弦裏にブリッジプレートを増設します。固定は両面テープを使用で接着剤は使わないことに、理由は将来、駒を外したり、アジャスタブル用のアンカーを交換するようなことがあったりした時に作業しやすいように です。

                        

                       

                      駒裏のショット。アンカーとブリッジを留めるビスが見えます。それらを外した位置にプレートを増設しています。

                       

                      見た目は変化ありませんが、サドルに下向きに掛かる力が増えている計算です。

                       

                      3連ペグに金色のロゴ。ブッシュが金属の”打ち抜き”でできています(うすっぺらな 感触がヴィンテージ感を醸し出しています)

                       

                      全体にクラックが入っていて貫禄万点。サウンドが軽めになるため、アジャスタブルサドルそのものを固定式の通常サドルに交換する方もいますが、これはこれでこれでしか出ない音になっておりそれを好むミュージシャンも見えます。エレキのブリッジのアイデアを持ち込むところが面白いですね。その当時フェンダーに負けず劣らずギブソンも革新的にメーカーだった訳です。経営破たんしたギブソン社ですが、ぜひぜひ復活して欲しいです。

                       

                      関連ブログ: ギブソンギター修理 インデックス

                       

                      ------------------------------------------------

                      「お問い合わせ」は 9notes@huni.enat.jp または 080-2660-2284 まで

                       

                      9notes ホームページ


                      ブログ「よごれた顔でこんにちは」

                      homeで新着情報 ”ほぼ毎日”つぶやいています

                      「栃の耳付き材のテレキャス」販売

                      にほんブログ村 音楽ブログ ギターへ
                       

                       FC2 Blog

                                                                                                ギター工房9notesは岐阜・恵那インターチェンジより車で15分

                       

                       

                       

                      Calendar
                      1234567
                      891011121314
                      15161718192021
                      22232425262728
                      293031    
                      << July 2018 >>
                      Selected Entries
                      Categories
                      Archives
                      Recommend
                      Links
                      Profile
                      Search this site.
                      Others
                      Mobile
                      qrcode
                      Powered by
                      30days Album
                      無料ブログ作成サービス JUGEM