2018.02.20 Tuesday

リペア ファイル その437

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    津軽三味線の棹・駒の”スモークド乾燥”処理

     

    Aタイプのフラットマンドリンに「スモーク乾燥」を施す際に、「試しにこれもやってみたい」とお持ちの津軽三味線の棹と駒もスモーク庫に入れて燻しました。ギター・ヴァイオリン属は扱いますが、日本の楽器はほとんど手にしたことがなかったので、興味津々で細部まで観察させてもらいました。

     

    津軽三味線は”太棹”でほかの三味線より(弦長が)長くできています。棹は3分割できて持ち運びが楽になっている(らしい)。この棹は”紅木(こうき)”と呼ばれるインドカリン属の硬い木でできています。希少木で高級材です。棹には2枚のホゾがありそれを保護する木製の蓋が装着されていました。

      

     

    ホゾの構造。日本建築の技術をそのまま応用したホゾで、ホゾ穴には金属が埋め込まれています。この小さなホゾに強度と精度が求められる技術が集められています。ほれぼれする仕事です。

      

     

    それをスルスルと合わせて行くと・・

      

     

    上下左右”クリアランス・ゼロ”でぴったり収まりました。驚愕の加工技術!!!(クリアランス・ゼロで収まるなんて考えていなかった。ほんのわずか段差ができると思っていたから・・)

     

    ヘッドと糸巻き。一体構造ではなくここも継ぎ木の技術で加工されていました。津軽三味線の太い弦には”さわり”という「ビョーン」とシタールのようなビビリ音が出るような突起があります。この出の加減を裏側のネジでやれるようになっていました(特許のようです)。

      

     

    胴の中を貫通する構造です。バンジョーに似ていますね。今回は胴はスモークしていませんが、胴には犬の皮がニカワで張られているそうです。ホゾを繋ぐと一本の棹になりました。つなぎ目を感じさせません。スゴイなぁ。

      

     

    こちらは駒です。いろいろな素材があるそうですが、これは”竹”でできています。弦の当たる下側は中空になる加工が施されていて、この技術力に唖然・・・ ”竹”の表面はガラス質で 刃物で削るにもよっぽど切れないと刃が立ちません。その素材にこのような細かい加工が。日本の加工技術の高さよ。

      

     

    姿もうつくしいです。軽さと強度を合わせ持っています。駒の理想系だと思わずにはいられません。

    後日マンドリンの引渡しの日に、セットアップした津軽三味線をお持ちくださいました。少し演奏してくださいましたが、その音量に驚きました。ギターより音が大きいんです!これが津軽三味線なのか!バチで叩くように弾くので、そのパーカッシブなサウンドも驚きでした。スモーク効果はいかほどか、評価を下すにはもう少し時間がかかりそうです。

     

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    2018.02.19 Monday

    お知らせ

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      ホームページを新しくしています。

       

      まだ、試運転中で安定していませんが、

       

      HPのトップページ・アドレスが http://9notes.org

      になります。

       

      以前は、http://9notes.org/index.html ですので

      このまま登録されていると Error エラーが出ます。

       

      ご注意ください。

       

      どうぞ書き換え・貼り付け直しをお願い致します。

       

       

      9notes/勝田

       

       

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      2018.02.15 Thursday

      リペア ファイル その436

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        フェンダー・テレキャキャスター 70’S  /  フレットすり合わせ

         

        バブルガム・ブラザーズのギタリスト”土門秀明”氏の70‘s貫禄のテレキャスター。ボロボロですが、サウンドは”切れッ切れ”でテレキャスらしく、ファンキーでもあります。

         

        フレットが擦り減っています。楽器の設定はなるべく変えないようにやるのが依頼ですので、『フレット交換』でなくギリギリまでフレットを攻めて『すり合わせ』します。

          

         

        ずい分低くなったフレットの頭を”三角ヤスリ”で根気に山頂(ピーク)を付けるため削り出します。

          

         

        削った痕をペーパーで消して行きます。♯180番・♯240番・♯320番・♯600番・♯1000番と番手を変えながら磨き上げて行きます。最後はバフで仕上げます。フレットピークが再び付いてピッチも正しくなり、コードもきれいに鳴るようになりました。

          

         

        低くなったフレットに合わせて、ナットの弦溝も若干下げます。

          

         

        この時期のTEは”TELECASTER"のデカールがヘッド先端に貼られており、リテイナーも2個つけられています。PUは何度か載せ換えたそうですが、現在はオリジナル。サドルだけチタン製に交換されていました。

          

         

        PGが外されていますが、まるでPGが装着されているように見えますね(そこだけ白い)。ビキニを外した日焼けした女の子みたいでセクシーでした。手放したギターも多いそうですが、このテレキャスだけは手元に残ったとのこと。決めてはこの楽器の”音”ですね。楽器は個体ごとに音が違います。いい個体との出会いは一期一会でしょう。

         

         

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        2018.02.11 Sunday

        リペア ファイル その435

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          ギブソン LP クラシック /  フレットすり合わせ・ロッド調整・ブリッジ交換・アウトプットジャック交換

           

          再びバンド活動を再開するために取り出したギターを、点検・調整するために当工房に持ち込まれました。20代は相当Liveで演奏されたんでしょうね。ギターにも味が出ています。

           

          点検の結果、フレットが磨り減って凹になっているので「フレットすり合わせ」をすることにしました。ネックの反りを見てトラスロッドを調整し、フレットの浮きがないかを確認してから、平ヤスリで凹んだ部分の底までフレットピークにヤスリをかけます。

           

          次に各種のヤスリ(ジャンボフレットなのでそれ用の)を使って、レベルを出したフレットピークに再び山頂(ピーク)をつけて行きます。それからヤスリ傷をなくすためにペーパーの番手を換えながらフレットを磨いておきます。

            

           

          ピカピカになったフレット。「すり合わせ」によってピークを出し直すとビビリ音やバズ音(雑音)がなくなり、音の立ち上がりやイントネーションが改善します。

           

          ギブソンオリジナルのABR-1ブリッジがヘタっていましたので、「ブリッジ交換」しました。ブリッジは2点の支柱で支えられていますが、長年使うと中央が下がって来ていまい、指板のアールと合わなくなって来ます。1弦と6弦の弦高は適性でも 3弦4弦が低くなってビビッたりベンドしにくくなって来たりします。 サドルが真鍮製(ブラスサドル)のクルーソン社製を選んでいます(ブラスサドルにメッキが施されている)。

            

           

          ヘッドに”Classic"のロゴが入っています。ペグはブッシュタイプですね。オープンタイプのハムバッカーPU。

            

          アウトプットジャックも磨耗していたので新品に交換しました。この部品は消耗品とお考えください。ジャックの抜き差しで金属が磨耗してきてガタが出だすと大きな雑音や音が出ないことが発生しますから。

           

           

          サウンドは高域から低域まで音のダイナミックレンジが広いです。高音の抜けがいいですね。マーシャルとの相性がいいのも頷けます。再びLiveで輝いてください。

           

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          2018.02.07 Wednesday

          リペア ファイル その434

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            ボディ組み換え・PG加工・キャビティ加工・PU交換・オイル塗装・ナット交換

             

            ESPのST用ボディを手に入れたので、現在休眠中の”ダンカンST”のネックとPU/アセンブリを組み替えて欲しいとの依頼です。見せたもらったボディ材は国産材「栓(せん)」で出来ていました。見事な”杢”が入ったワンピース材です。1H1V/フロイトローズ用のザクリが施されていました。

             

            これをS-S-Hにします。ルター加工する前にボール盤でおおまかに掘削しておきます。こうするとルーター加工時の刃の抵抗を減らすことができ、少しでも事故の確率を下げることが可能です。ルーター加工は間違うと大きな事故になりますからね。

              

            (元々ボディ裏にV用のザクリ加工がしてあり、丸い穴が開いています)アウトプットジャックはボディサイドにあり。

             

            ネックを取り付けるための加工をします。ネックポケットの寸法が合っていないので、「センター合わせ」と「ポケット深さ」「弦長」を確認しながら「ネックポケット加工」をし、ネックを仮組みしながらシンクロユニットの位置決めをしました。(と書くのは簡単ですが、結構慎重にやらなければならない工程です)

              

             

            ボディに「オイル塗装」します。無垢の木の感じを最大限に引き出す塗装です。私は以前「木工家具」工房をやっていたので「オイル塗装」と「拭き漆塗装」は得意です。いろいろな自然系オイルを試した経験の中でお勧めは、「AURO」と「OSMO」でどちらもドイツのメーカーです。この二つを使い分けながら”艶”あるボディを完成させました。

              

            オイル塗装はだれでも失敗しない塗装なんですが、塗る回数を上げていくとグチャグチャになりやすいので注意。よく乾燥させてから次のステップに行く のと、吹き上げる際に布や紙の繊維が塗装面に残らないよういにするのがコツです(私は拭き取り専用のペーパーを使っています)

             

            キャビティ内に”導電塗料”を塗ってボディは完成。次は支給された新規のPG(S-S-S)のリアをH用に開け直し、もう一台のギターからアッセンブリを外し、リアだけ新規のダンカンのPAF系のハンバッカーPUを取り付けました。アースをキャビティ内の導電塗料に落とし、PGのアルミ箔にもビスを通して通電するようにしてあります。

              

             

            スプリングは「Raw Vintage」社製のものに交換。人気があるスプリングですよね。実際いいし。(また安いのがいい) 裏蓋もスプリングカバーに合わせて同じ素材で作りました。

             

            ナットは磨耗していたので交換しました。アームを使う人はどうしてもナット溝が減ってしまいますよね。少しだけ溝は浅めにしてすぐ減らないようにしてあります。

              

             

            組み上げました!杢が浮かび上がって美しい!オイル塗装で上品でナチュラルな感じに仕上がっています。アウトプットジャックがサイドにあることでトップの木目がいっそう引き立っていますね。

              

             

            フロントPUは”ダンカンANTIQUITY”でミドルは逆巻きでした。リアのハムバッカーPUは出力が引くめで 前のシングルとの相性も抜群でした。「リア一発」という感じではなく、どのポジションも曲の雰囲気によって使い分けできる組み合わせです。

             

            「国産材」でエレキボディを作ることは80年代までは大手メーカーでも取り入れられていましたが、今は少ないです。この「栓」はアッシュ系のボディ材として有効ですが、ほかには「タモ」「栗」なども使えます。国産材は市場での流通量が少ないので馴染みがないでしょうが、もっと多くの材が使えると思います。たとえば「楢(なら)」「シオジ」「楡(にれ)」「ケンポナシ」「ケヤキ」「栃(とち)」「ミズメ」などなど、どれもいい木味を持っていますし、独特のサウンドも味わえるはずです。

            残念ながらアコギのトップ材に使える針葉樹系は、ヤマハも使っている「エゾ松」くらいしかありませんが、「杉」などを圧縮させる技術を応用したら使える日が来るかも知れませんね。研究の価値あり。

             

             

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            2018.02.03 Saturday

            リペア ファイル その433

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              VG KTR-LGE  /  スモークド乾燥・ナット調整

               

              OEMメーカー「寺田楽器」のオリジナルブランド”VG"。加工技術の高さは業界内でも有名です。その”VG"を楽器店「Music Land KEY」が”Key to the rock"シリーズのアコギ部門で使ったのが本品。ネットで検索したらこのシリーズは本格派が揃っていて「KEY」のやる気を感じました。

              前回のブログでお伝えした”ヘッドウエイ”共々「スモークド乾燥」処理をおこないました。

               

              「燻す」と樹木に含まれる油分・ヤニ成分がギターに付着します。針葉樹ほどこの油分が多く、書道で使われる「松煙墨」は松脂を燃やした煤をニカワで固めて乾燥させたモノです。当工房では広葉樹を主に使っていますが、その中にも油分があるという訳です。

                

              ある文献を読んでいたら「熱」がどんな「媒体」によって運ばれるかで いかに対象物中に浸透するか、が書かれていました。例えば「水分」を使うのが「蒸気乾燥」という強制乾燥になります。「炭素」を使うのが「薫煙乾燥」になり、当工房の「スモークド乾燥」はそれに当たります。

               

              煙に含まれる「炭素」によって「熱」が木材の内部に入って行き、細胞内の水分を追い出しながら、木材内の”内部応力”が取り、また強度をアップさせる、と考えられています。

               

              ナットを再整形しました。弦の直径の半分くらい出るようにしてやるように上面を削りつつ、傾斜を鋭角にして弦の接地面を”点”に近づけています。(クリアーな音を求めて)

                

               

              力木はわざと(?)粗く加工されていました。ギブソン社の力木の特徴が三角形で材を弾き割った後が残っている感じなので、それを再現しているのだと思います。「B-25」を模したモデルなので細部までも作り込まれています。

                

               

              依頼主からコメントを戴いています。「ボディ全体、ネックがしっかり効率良く振動して音量もしっかり出ています。高音はハギレ良く、小振りなボディなのに低音も力強く鳴ります。これは面白いギターです」スモーク効果で音量があり低音も出て、このボディでは上出来だと思いました。

              全体的に魅力的なギターでした。

               

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              2018.01.30 Tuesday

              リペア ファイル その432

              0

                Headway Hj-311  / スモークド乾燥・ナット調整・サドル調整加工

                 

                ごひいいきにしてくださるお客様から入手された2本のギターの「スモークド乾燥」処理を調整を任されました。今回はヘッドウエイの作業内容について。「スモーク」は合計30時間ほど行いますが、その間に”天地返し”して 全体がまんべんなく燻されるようにしています。

                 

                火の粉から保護するために袋を掛けていますが、ギターにはヤニや煤が付着します。それをエチルアルコールで拭き取ります。さらに全体をバフで磨いております。(ホームセンターで売っているような「スモーク」用燃焼材ではなく、裏山から切り出した広葉樹の薪を燃やして煙を発生させているので、少量の火の粉も舞います。煙と温度が肝です)

                 

                J45風なで肩のサンバースト・ボディ・単板モデル。ヘッドウエイは作りが丁寧ですね。まだ、こなれた音が出ていなかったのと、各弦の分離がいまいちだったのでそこを改善します。

                  

                 

                サドル下にアーチ状の窪みをつけ音の分離を狙います。かつて修理したクラシックギターからの応用です。指板のアールとサドルのアールと不一致でしたので、指板アールに合うようにサドル中央(1弦と6弦の弦高を確認して、そこを残すようにしてを削りました)

                  

                 

                ブリッジピンからサドル頂点までの角度も十分です。

                 

                ナットも再整形し少し鋭角にしました。グレーベン風のヘッドとデザイン。

                  

                 

                「スモーク乾燥」後の特徴は、「音量アップ」と「立ち上がりのよさ 」です(この手の研究をされているほかの施設でも 同じような結果が出ているとお聞きしました)が、この機では弦を張ってすぐにその効果が出てきませんでした。調整を繰り返していると段々よくなって来ました。こういうケースも過去にあるので”慣らし”が必要なこともあります。

                依頼主からメールを戴きました。

                「最初は「あれっ、音が引っ込んでいる?」と思ったのですが、数日弾き続けると音が変化が・・・。

                低音にふくよかさが出て、フィンガーではそのベース音に乗って気持ち良く弾いてしまいます。
                また、調整により弾きやすくなりました。欲を言えばプレーン弦にもう少し元気?があると・・良いのかなあ」

                 

                と課題もいただきました。

                 

                スモークド効果でトップの剛性が上がっている分、力木などを弱くしてもいいと思うのですが

                力木を”はつる”ことはよっぽどしません。もう少し様子を見てもらおうと思います。

                 

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                2018.01.25 Thursday

                リペア ファイル その431

                0

                   G string テナーウクレレ / 表板剥がれ・裏板剥がれ

                   

                  見事なオール”コア材”でできたテナーウクレレ。塗装はラッカーの極薄で、ウクレレでは高級品ほど塗装が薄いです。ナイロン弦で楽器を鳴らすよう 薄くしてあるのですね。表板の厚さも大変薄く仕上げてあります。

                   

                  テナーウクレレの調弦は、アルトと同じ”GCEA”(太い4弦側がGで細い1弦側がA)調弦と”DGBE”(ギターの1〜4弦と同じ)がありますが、ウクレレらしく”GCEA”にチューニングすることが多いと聞きます。アルトに比べて弦長が長いためテンションが強くなりトップに大きな負担がかかり、トップの剥がれが起ることがあります。 そうなっています。

                    

                  ウクレレにはラダー(はしご型)ブレイシングが採用されることが多いですが、この楽器にはクラシックギターで見られるようなファン(扇型)ブレイシングが使われていました。

                   

                  接着剤を入れてローワーバウト(楽器の下側の丸い部分)全体に圧力が掛かるように”当て木”を作ってクランプでプレスします。同じように裏板も2回目のプレスで接着しました。

                    

                   

                  くっ付きました。ウクレレには”バインディングなし”スタイルのものが多いので、この手の修理はやりやすいです。

                   

                  ヘッドには”G”をかたどったインレイが。口輪はワンリングです。”カーリー・コア”材が美しく、サウンドは切れがありつつ暖かです。テナーウクレレは、弦のテンション感はありますが運指は楽だと思います。

                    

                  これで無事完了、「めでたしめでたし」と行きたいところでしたが・・・引渡し後に連絡がありました。

                  「またトップは剥がれた」と「エッー!!!」

                   

                  同じ時期に表割れを修理したギターにも「剥がれ」が出ました。さすがに「ショック」でしたが、原因を探って見ました。

                  この2本は同じ接着剤(エポキシ系)を使っていました。まず考えられるのは、

                  1・室温が低くくて「接着不良」が発生した。(ストーブを入れているのが・・・夜間が冷えたか・・・)

                  2・硬化剤の量が少なかった。(季節に応じることが必要か)

                  3.接着剤自体が古くなった。(2液混合タイプなのでそんなことはないと思うが・・・因みにユリア樹脂系の接着剤は古くなると接着力が落ちる)

                  4・圧力不足

                  5・経験があるからと”気持ちの油断・慢心”

                   

                  実際はその複数の要因だと考えられます。そこで新品の硬化時間の長いエポキシ系接着剤に換えて、部屋もがんがんに温めクランプ数も増やして再接着しました。(なんだがビビっているね、この図)

                  接着後、弦を張って1週間様子を見ました。無事なのを確認してお客様に手渡しました。なにもかもうまく行けばいいのですが、お客様に迷惑をお掛けしたことはお詫びつつ、『失敗』は経験値を増やし謙虚にやり直す機会だと捉えるようにしています。何年やってもまだまだ勉強が必要な私です・・・

                   

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                  2018.01.21 Sunday

                  リペア ファイル その430

                  0

                    ヤマハ FG−130 / ネックアイロン矯正・弦高調整(サドル溝堀直し・駒削り・サドル調整)

                     

                    弦高が高くで演奏不可能な状態です。「リセット」など手を入れればまた弾ける状態にできますが、この手の国産ギターは低価格で取引きされているので、修理にあまりお金を掛けることができないことが多いのが現状です。それを踏まえて、ぎりぎりの予算内で可能な限りの作業をします。

                     

                    まずは「ネックアイロン矯正」ロッド調整してから”仕込み角度”を修正してやります。12F 6弦4ミリあった弦高を3ミリまで下げることができました。しかし、この個体はそれ以上は何度やっても曲がってくれません。

                     

                    そこで次ぎに駒側で対処することになります。サドルを下げるために駒を削ります。理由はサドルとブリッジピンとの間に落差が必要だからです。ここで問題発生。サドルの溝が浅く 駒を削るとサドルが溝がなくなってしまいます。そのため「サドル溝を掘り直す」加工が必要になります。その準備ため一旦 サドル溝をローズで埋め直します。

                      

                     

                    ジグをセットしてルータートリマーでサドル溝を深く加工します。ブリッジピン穴も修正します。(そのままではピンが飛び出してしまうので)

                      

                     

                    サドルとの落差がわずかですので、弦の誘導溝をサドル近くまで伸ばして「立ち上がり角度」を確保。これで12F 6弦2.5ミリ 1弦2ミリにできました。今回はこれで完了しましたが、駒をもっと削ると弦のボールエンドからの巻き上げ部分が、サドルに乗ってしまう現象が起きることがあります。そうなったらトップ裏に薄板が貼り付けてボールエンドの位置を下げてやる処置が必要になります。

                     

                    現在のヘッドとは逆の 先端に行くにしたがって狭まるタイプです。YAMAHAのロゴではなく”音叉”マークが・・・

                    弦を張って出した音のデカイこと!このボディでこの音量はたいしたものです。苦労して復活させた甲斐がありました。まさに「古いギターは言い音がするのさ」です。

                      

                     

                    普及機なので市場に多く出回っていると思います。なので案外 押入れや倉庫で眠っていることも多いでしょう。湿度の高い押入れや倉庫で眠っている間にネックが反ってしまい、懐かしくなり取り出したときには弦高が高くで弾けない状態に、なんてことがあるんじゃないでしょうか? 合板トップでも30年も経つ枯れていい音を醸し出すようになりますよ。一度押入れを探して見てはいかがでしょう。

                     

                     

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                    2018.01.17 Wednesday

                    リペア ファイル その429

                    0

                      マーチン  D16−A  /   バインディング外れ修復・ピックガード交換

                       

                      ”アッシュ”というアコギには珍しい材木がサイド&バックに使われているマーチン・ドレットノート。バインディングが外れてきました。”セル”素材で巻いてあるバインディングは、どうしても経年変化で痩せて来てしまいます。

                       

                      腰のくびれ部分は特に剥がれやすくセルが浮いて来ます。この修復には、セルをドライヤーで温めてから接着剤を入れて、テープとクランプで固定してやることで解決できます。

                        

                       

                      その後、はみ出た接着剤をきれいにしてから、細かい番手の水ペーパーで研いでバフで磨いて仕上げます。このギターのセル・バインディングは”べっ甲柄”でした。白バインディングとは感じが違いますね。

                        

                       

                      黒いピックガード(PG)を”べっ甲柄”に交換したいとのこと。ますはPGをドライヤーで暖めながら少しずつ剥がして行きます。焦るとトップのスプルース材も引っ張られて引き裂いてしまうので、気をつけながら・・・ このPGは新しいのか トップに両面テープが残ってしまいました(古いとテープもいっしょに剥がれてくれる)。それを”Zippo”オイルでクリーニングします。

                        

                       

                      何枚かの素材(塩ビ材)の中から明かる目の一枚を選択されました。これをリングにピッタリ合うように加工します。

                        

                       

                      PGの面の処理もしっかりやってギター本体に馴染むように仕上げました。黒PGとは全体の印象がすっかり変わります。素材の威力って大きいですな。この形はティアドロップ型と言いますが、「涙のしずく形」という意味です。アコギの定番の形ですが、マーチンギターの代名詞にもなっていますね。

                        

                       

                      ローズでもマホガニーでもないサイド&バック材のアッシュが使われていますが、サウンドはマホとロースの中間くらいです。これはいいサウンド傾向で、ほかの広葉樹も使えることを意味します。ローズ規制がかかり、これから別の材に需要が移って行くでしょうから、アッシュなどの「環孔材(導管が環状にならんでいる木種)」も使われて行くことになる と私は読んでいます。

                       

                      関連ブログ:

                      マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

                       

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