2019.02.14 Thursday

リペア ファイル その518

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    Guo Yulong(クオ ユロン)/ 全体調整・サドル調整・ブリッジ加工・ポジションマーク加工

     

    若手ギタリスト”大手文明”氏所有の新作クオ・ユロンの8弦ダブルトップギター。以前は”Guo Yulong”を「ガオ・ユーロン」と記載していましたが、「クオ・ユロン」の方が中国語の発音に近いということで、国内代理店も心機一転、正規代理店になりましたので、それに倣ってこれからはこう表記します。

     

    入手されて1年ほど経ちに安定してきたため、ここで全体の調整を依頼されました。高音側の弦高がやや高く感じるのと低音側のビビりなどが気になるそうです。そこで1弦側のサドルを下げるためブリッジも少々手を入れる必要が出てきました。ローズ製のブリッジ高音側を少し削ります。その部分をアロンアルフアを使い塗装します。ウレタン塗装の場合だけこの手が使えます。

      

     

    1弦側が低くなっているのがお分かりでしょうか?今度はサドルをセパレート仕様にします。7弦8弦部を背の高いサドルに変更しました。

      

     

    ポジションマークも入れました。

      

    ネックヒールはすごく薄くできています。ハイポジションンの操作性からそのように仕上げていると思われます。

     

    指板面もクリーニングしました。サイド&バックはジリコテでウレタン塗装。トップは杉(シダー)の”ダブルトップ”で薄めのセラック塗装が施されています。塗装が薄いことで開放的な鳴りを実現しています。

      

     

    ネックのジョイント部はせりあがっている”レイズドフィンガーボード”。特筆すべきは、内部構造で”ダブルバック”仕様になっていることです。ジリコテの裏板の上に針葉樹系の板が張ってあり、ところどころにバスレフ式スピーカーのような穴が開いています。どのような理論で”ダブルバック”になっているのか私には説明できませんが、たぶん低音が増幅されているのだと思います。

      

     

    8弦のほか10弦もオーダーできるそうですが、もうグランドピアノ並みの音圧とダイナミックレンジの広さを持つギターですね。

      

     

    大手氏は弦にもこだわりがありハナバッハやプロアルテなど複数の弦を使い分けています。

      

    ダブルトップ特有の音の立ち上がり速さが良い、音量がある、遠達性に優れる、など現代的な音楽表現に適しています。一方、音に艶や深さもありシングルトップの良さとされている領域まで届いています。

     

    マティアス・ダマンに始まった”ダブルトップ”は、中国の地で”ダブルトップ・ダブルバック”としてGuoの手で休むことなく進化しています。これからも目を離せないギターです。

    ダブルトップ関連ブログ:http://9notes.jugem.jp/?eid=405

     

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    2019.02.10 Sunday

    リペア ファイル その517

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      『錆びた”イモネジ”の外し方』

       

      フェンダーのストラトキャスターなどに採用されているプレスサドルです(この写真は国産サドル)。サドルに手の甲を乗っけて演奏したりするので、汗がサドルに掛かり錆びてしまうことが結構ありますね。こうなるとイモネジが錆びでサドルから抜けなくなってしまうことがあります。(アジャスト機能が使えないため弦高調整ができなくなってしまいます)

       

      無理に六角レンチで回そうとして、穴をなめてしまって もうどうにもならないことって ありませんか?(ですので、無理に回さないことです)

       

      そんなときには「クレ550」!とCMのような対応です。で、実際大変重宝しています。クレ550をネジ部に噴出してしばらく放置しておきます。その間にオイルが浸透して行きます。

       

      六角レンチで一度試してそこで回ってくれればよし、回らなければイモネジをバイスペンチでくわえてそっと回します。(ここではイモネジをダメにしてもしょうがないと 覚悟を決めてやって下さい。覚悟すれば案外抜けてくれます)

      ペンチでくわえたせいで、イモネジが潰れてダメになったら新しいイモネジと交換すればいいのです。サドル本体よりはずっと安いですから。

       

      ダイキャストサドルやブロックサドルでも同じことです。錆が出たらたっぷりと「クレ550」を掛けてやってください。

       

      イモネジで気をつけなければならないことは、インチとミリ サイズ2種があるということです。フェンダーUSAはインチ、国産はミリ対応になっています。それは六角レンチも同じことで、インチとミリ 2種あるのでインチサイズのイモネジの穴にミリサイズでを無理やり突っ込むと、それだけでなめてしまって使い物にならなくなってしまいます。(インチサイズの六角レンチは楽器屋さんでないと入手できないので注意)

      ステンレスのイモネジに交換すると錆に強くていいのですが、レリック仕様の楽器ですとそこだけピカピカになり具合が悪いです。その場合はイモネジを少し汚す程度にして頂き、くれぐれも錆付けだけは御免被りたいです。

       

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      2019.02.06 Wednesday

      リペア ファイル その516

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        モーリス W-40 / ネックアイロン矯正・フレットすり合わせ・ナット交換・サドル交換・ストラップピン取り付け・LRバックス社「Iビーム アクティブ」取り付け

         

        ネットで思わず「プチッ」として落札してしまい図らずも依頼者も元へやってきた”モーリスW-40”。やや難があって安かったそうですが、70年〜80年代の国産アコギは以前より値上がりしている模様。その時代は国産アコギの黄金時代で、メーカーも楽器屋も音楽シーンも活気がありましたね。その時代を懐かしむ層が動いているのかな?

        あっちこっちを修理・修正・調整して使える楽器にして行きます。

         

        ネックの反りで弦高が高く演奏しずらので、「ネックアイロン矯正」して反りを修正します。フレットピークにバラつきが出たので平やすりで「すり合わせ」してピークを整えます。

          

         

        台形になったフレットピーク(山頂)を半丸ヤスリや三角ヤスリで鋭角に尖らせ、その後ヤスリ傷をペーパーで磨いてきれいにしておきます。

          

         

        ブリッジプレート(ブリッジの裏側に貼ってある板)がボールエンドで凹んでいたのと ブリッジが低いことから、弦の種類によってはボールエンドからの巻き直し部がサドルに乗かってしまうきらいがあったので、メイプルの小さなブリッジプレートを足し増しました。

          

         

        LRバックス社の「Iビーム アクティブ」を付けることになっていたので、増設したブリッジプレートは少し斜めに貼ってあります。(「Iビーム 」はサドル下に貼り付けるのでサドルの傾斜と同じになります)

          

         

        サドルはプラスチック製(その頃はほとんどコレでしたね)でしたので牛骨で新たに作り直しました。これでサウンドがタイトになります。

          

         

        ナットも牛骨で作り直しました。マーチンのようにナット底面は”斜め”の加工がしてあります。真っすぐなったネック。

          

         

        縦ロゴの”MORRIS"。

          

        糸巻はロトマチック式で高級機の証でした。

         

        W-40はオール合板製ですが、トップにはバインディングに貝のようなセルが巻いてありゴージャス感があります。バックは3ピース(ローズ+フレイムメイプル)。

          

         

        その出音は、合板トップのレベルをはるかに超えていました。いいころ具合に枯れていて「きれいな音」です。ダイナミックスレンジは広くないですが、コードのまとまり感やサスティーンは十分で胴が深い分低音も出ています。

          

        70年〜80年にかけての国産アコギは今が一番鳴りごろかも知れませんね。ひと手間掛ければ「現役」に復活してくれるでしょう。

         

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        2019.02.01 Friday

        リペア ファイル その515 (Harmony Guitas修理 その2)

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          Harmony Guitars No,945 "Broadway Guitar" / 

          ネックアイロン矯正・フレット交換・ナット交換・ヒールシム入れ・ブリッジ交換・ペグ交換・・・その2

           

          前回に続き”ハーモニー・ギターズ”のピックギター修理。(なぜ「ピックギター」というのだろう?ほかに「ジャズギター」とか「アーチドトップギター」とか「フルアコ」とか呼び名がいろいろありますね)

           

          オリジナルの糸巻きが硬く回しずらいため交換します。よく見ると3連ペグのポスト穴は一直線でないとダメなのですが、中央がズレていました。埋め木して正確な位置に穴を開け直しました。

            

           

          下がオリジナルで(ギヤが磨耗していました)今回付け直した新しいStewMac製の3連ペグ。ブッシュがないタイプですので、ポストで抵抗があるためスムーズな巻き上がりとまでは行きませんが、独特のルックスがこのギターの味です。

            

           

          アールデコのデザインがニューヨークぽくかわいいです。

           

          ナットも牛骨で新調します。エンピツを半割りにしてフレットと同じ高さにラインを写します。このライン(ナットに書かれた下のライン)が弦溝の底になり、その上のラインがナットの上面のラインになります。削り込んで整形し溝を専用ファイルで切って完成。

            

           

          ポジションマークがなかったので、3・5・7・9・12Fにドットを入れました。

            

           

          経年変化でトップが変形していてオリジナルのブリッジの底面がトップのアーチと合っていませんでした。新たなブリッジを購入して再整形し底面も密着させました。

            

           

          さてその出音は・・・カッティングでは「ザ・ザ・ザ・ザ」と4ビートを刻むと歯切れのいいサウンドで、単音はfホールギター特有のこもった音で「いかにも!」っていう感じです。単板製ではないので倍音が少なめですが、明るく軽快で弾いてて楽しくなるギターでした。

            

          また、持ち主がこのギターに似合う男前の方で、若き”オールディーズ”ファンでした。

           

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          2019.01.28 Monday

          リペア ファイル その514 (Harmony Guitas修理 その1)

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            Harmony Guitars No,945 "Broadway Guitar" / 

            ネックアイロン矯正・フレット交換・ナット交換・ヒールシム入れ・ブリッジ交換・ペグ交換・・・その1

             

            ビザールギターメーカーとしても有名な「ハーモニー」社のピックギター。アールデコ様式のデザインがアメリカンっぽい雰囲気をかもし出しています。あちこちが痛んでいたのでオーバーホールして使えるギターに復活させます。2回に渡ってレポートします。

             

            ネックヒールに隙間が見られて、もしかして「リセット」が必要かとも思いましたが、点検したらダブテール部はしっかりくっ付いている模様。サイド(横板)が反っていたのでそのため「隙間」が生まれたと思われます。テーパーシムを作って埋めながらヒール部をしっかりと固定します。

              

             

            接着剤を流しこんでテーパーシムを叩き込みクランプで締め上げます。乾燥後、余分なところをカットして・・・

              

             

            シムを同系色で塗って仕上げました。

             

            ネック元起き状態にはなっていませんでしたが、仕込み角度が浅くて駒で充分な高さをつけられません。フレットもペタペタだっため「打ち換え」するのに合わせて「ネックの反り」の矯正とアングル変更を「ネックアイロン」で修正しておきます。指板面で仕込み角度を付けるように削るのですが、「反り」があるままでは指板を部分的に多く削ってしまうことになります。そのため、あらかじめ「ネックアイロン矯正」しておくのです。

              

            ポジションマークを指板と共に削ってなくならないように、外しました。

             

            ポジションマークを入れ直してから、タングがきつくなるように調整してからフレットを打ち込んで行きます。(ロッドのないギターですのでフレットタング(脚)がクサビとなってネック強度をつくります)平ヤスリでフレットピークを整えます。(ナット側を強めに削ってフレット上面でも仕込み角度を少しでも多くつけようと試みています)

              

             

            半丸ヤスリを使って頂点をつけ直してから、ペーパーの番手を変えながら磨いていきます。磨いて解りましたが上等な黒檀の指板が使われていました。ネックが強いと楽器の鳴りがいいですので、音出しが楽しみです。

              

            次回「ナット交換」「ブリッジ交換」「ペグ交換」へと続きます。

             

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            2019.01.24 Thursday

            リペア ファイル その513

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              フェンダーMexico JB / ネック・スカンクライン亀裂補修

               

              メキシコ製のフェンダー”ジャズベース”通称JB。USA製のとはネックのバインディングやポジションマーク、ピックガード等が若干違っていますね。

               

              ネックに埋めたトラスロッドに蓋をする際にできたメイプルとは色違いの埋め木(マホガニー)を”スカンクストライプ”または”スカンクライン”と呼びますが、そのラインに沿って少し亀裂が入っています。(”スカンク”とはどんな意味かな。あのスカンクか?)

               

              マスキングをして隙間に瞬間接着剤を充填して行きますが、ロッドが接着剤で固まってしまってはいけないのでロッドを回しながらの作業です。充填後、サンディングして段差があった部分も解消しておきました。バフで磨いて元通りに。

               

              ヘッドに「MAID IN MEXICO」とあります。米国製まで手が出せない層に人気のメキシコ製ですが、そのクオリティーはなかなかです。(日本製の「フェンダージャパン」も人気でしたが、現在は「ジャパン・エクスクルーシブ(JE)」に改変されています)

                

              個人的に私はメキシコが大好きな国です。その理由のひとつに米国のアリゾナ州Phenixのギター製作学校に留学していたころ、メキシカンフードの”ブリトー”が好物になってメキシコ人の経営するお店によく行って彼国に興味を覚えたこと。また西海から中部はヒスパニッ系が多いので、スペイン語が通用するくらいでメキシコは外せないアメリカの隣国と意識したことです。

               

              1枚のピックガードにアッセンブリが組まれています。米国製のようにセパレートタイプではないです。ノブはストラトタイプですね。

               

              フェンダーの本社はアリゾナ州のスコッツデールにあってPhenixの隣町です。当時自転車で走り回っていました。メキシコ工場はエンセナダというところにあるそうで、カリフォルニア州からさほど遠くないところです。つまり労働力だけメキシコ人で内容はほとんど米国と同じってことです。

                

              メキシコには計3回訪れ合計6ヶ月滞在して、そのうち数週間はグァテマラやサンサルバトルへも足を伸ばしました。サンサルバトルの隣がホンジュラスで、現在”キャラバン”第2弾が米国めがけて行進していますね。米国はホンジュラスの『マホガニー材』をさんざんただ同然で持ち出し入ているんだから、その責任取って「移民」を受け入れてやってもいいんじゃないですかね。トランプさん!

               

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              2019.01.20 Sunday

              リペア ファイル その512

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                フェンダー・アコギ GA-45 / フレットバリ処理・フレット端丸め処理

                 

                この季節(冬)になると室内でストーブやエアコンを使うことになるため、室内の乾燥が進み(35パーセント以下になると要注意)ギターの木部も乾燥により「木が痩せる」現象がおきます。よく起るのが「指板の痩せ」(木が縮む)で「フレット端が飛び出して手に当たる」ようになります。今回はその処理です。

                 

                指板にバインディングが巻いてありますが、フレット端が飛び出しているのと同時に「バインディング痩せ」(湿度の影響ではなく経年変化でわずか縮んでいる)も起っていたので、端が浮いているように見えます。そこを金槌で叩いて押し込んでおきます。

                 

                フレット端の隙間に瞬間接着剤を流しこんでおき固定します。(オーバーバインディングになっているので、端までフレットタングがないためフレットが浮きやすい)

                 

                全体にフレットが飛び出ている部分(バリと呼んでいる)を平ヤスリで落としてから、フレットの端を細かいヤスリで丸く処置しておきます。

                 

                これでフィンガリングがスムーズになってくれれば嬉しいです。

                 

                最近のフェンダーのアコギは3対3のペグヘッドが主流ですね。これはフェンダーエレキに見られる6連のシングルヘッドではアコギストに受けがよくないからだ、という楽器店関係者がいました。「なるほどそういうものかも」と妙に合点がいった記憶があります。

                 

                 

                冬場の乾燥期のギターの症状にはほかに『トップの沈み(弦高が下がってくる)』『ネックが逆反りする(開放弦・ローポジでビビル)』『表板の接ぎ面が切れる(ブリッジ付近でトップ中央に隙間ができる)』などが起きます。エアコンの風が直接当たるとこの症状が早く進行したりするので注意してください。

                昔、映画監督の”黒澤明”の別荘の家具を製作した木工の人間国宝”黒田辰秋”が黒澤監督から「家具が乾燥して木が痩せてくる」と指摘されて「家具が痩せる環境は人間にいい訳がないから環境を変えなさい」と言ったそうです。それを素直に受止めた黒澤監督だそうですが、両者とも度量の大きさを感じますね。

                 

                (この家具はサントリーのCM使われました。大ぶりの椅子に座った黒澤監督がウイスキーを飲むCMです。その後この家具を”ビートたけし”が譲り受け、今は豊田市美術館に寄贈されています)(たしかそうだったと思う。違っていたらごめんなさい)

                 

                 

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                2019.01.16 Wednesday

                リペア ファイル その511

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                  Greco M-180 ・12弦アコースティック /  6弦ギターへ改造

                   

                  蔵の中で眠っていたという古い12弦ギター。グレコのロゴも相当珍しいモノではないでしょうか?少なくとも私はこの字体のは見たことがないです。古いわりにはコンディションもよいギターですが、しばらくギター演奏から遠ざかっていられた持ち主は12弦ギターを弾くイメージが湧かないご様子。そこで演奏しやすい6弦ギターへの改造を提案しました。

                   

                  丸っこいロゴの”Greco”。 ギブソン型のヘッドに12個のペグが付いていましたが、不具合のペグもあるため いいものを選び6個ペグをつけ直しました。

                    

                   

                  なるべく手を掛けないように(コストを抑えるため)既存のナットに新たな6弦用の溝を切り直します。(ピッチを計測してそのまま古い溝を再利用しているのもあります)

                    

                   

                  駒側も12弦用に合わせた割り振りがしてありますから、6弦用のピッチに合わせてサドルに弦溝を入れてやります。また弦高を下げるためにサドルを削ってあります。そのため低くなったサドルのブリッジピンからの立ち上がり角度が不足するため、サドルへの弦の誘導溝をピッチに合わせてブリッジ本体に切り込み、立ち上がり角度を稼いております。

                    

                   

                  6弦用にはヘッドが大きいのはしかたがありません。口輪(ロゼット)は独特ですね。

                    

                   

                  ネックはギブソン風、ボディはマーチン風、ロゼットはオリジナル、それを上手く(?)まとめているところが面白いです。たぶん60年代製のグレコアコギだと思いますが、米国製のアコギの模倣をしつつオリジナル性も模索していたんでしょう。振り返って見てみると当時の苦労が垣間見えます。

                    

                  現代の音楽シーンでは12弦のアコギを使うことがほとんどなくなり12弦ギターの市場の評価は非常に低いです。しかしながらこうやって12弦を6弦に改造することによって”鳴るギター”を復活させることも可能です。いいギターを眠らせておく手はないです。

                   

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                  2019.01.11 Friday

                  リペア ファイル その510

                  0

                    マーチン D-28 / ネックヒーター・フレットすり合わせ・ナット交換・サドル交換(オフセット加工)

                     

                    ピックガードが交換されたMartin D-28。「ネック元起き」ぎみなので調整して欲しいとの依頼です。「ネックリセット」も検討しましたが、まだ新目の個体でそれほどひどい「元起き」でなかったので、フレット交換時に「リセット」されたらいいと判断し、今回は「ネックアイロン矯正」で修正することにしました。

                     

                    ネックアイロン(またはネックヒーターともいう)を使い「元起き」を矯正します。また「仕込み角度」をつけてやりサドル高を変えることなく「弦高を落とす」ようにもしています。同時にネック自体もやや「逆反り」にしました。

                      

                     

                    アイロンを掛けるとややフレットピークに変化が起きるので「フレット擦り合わせ」してピークを整えます。ピークが平ヤスリで平らになるので再び半丸ヤスリや三角ヤスリでピークをつけ直します。

                      

                     

                    ヤスリ傷を取るためペーパーの番手の粗いものから細かいもの(♯180〜♯3000)替えながらフレットを磨き上げていきます。

                       

                     

                    ナットも交換しました。巻き弦はナットの半分くらい埋まる感じで仕上げています。プレーン弦は外れてしまうのでそこまで浅くはしませんが。

                      

                     

                    サドルも交換しました。仕込み角度をやや付けたのでサドルの高さをキープしたまま「弦高を下げる」ことに成功しています。オフセット加工もしてあります。(指板も駒も真っ黒な黒檀を使用してありマーチン社の材料の在庫はいかほどかと考えてしまいます。昨今は全体的に材料が枯渇して来ていますから)

                      

                     

                    ペグはゴトーの”510”に交換されていました。ギヤ比が1:21で細かいチューニングに適しています。ネックは弦を張ってピンピンになるように調整してあります。

                      

                     

                    元々「倍音」が豊かで「レンジ」も広い素性にいい個体でしたが、そこにプレーン弦の伸びが加わったと喜んでいただきました。弦高も低くなったことでプレーヤビリティも向上しています。依頼主はフィンガーピッカーのようで内部にマグネットピックアップ用の配線とコンタクトピエゾを貼り付けられていました。そこで、こちらからどんなシステムをお使いかお聞きしたら、親切にいろいろ教えて頂きました。

                      

                    ピックアップはデュアルシステムになっておりマグネットピッアップ 『Sunrise S2』+ コンタクトピエゾ『2nd Factor APU-1』。プリアンプは『D-TAR』これに『Mackie』のアナログミキサーを繋いであるそうです。ほかの先生のシステムも教えていただきましたが、こういうシステムを作り上げていくには現場で試行錯誤して時間とお金をかけないと、活きた組あわせと設定が作れないのだなぁと実感した次第です。ありがとうございました!

                     

                    関連ブログ:マーチンギター修理インデックス:http://9notes.jugem.jp/?eid=307

                     

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                    2019.01.06 Sunday

                    リペア ファイル その509

                    0

                      Fender American Vintage ’57モデル / ボディカラー・リフィニッシュ(塗装はがし・再塗装)

                       

                      フェンダー USA '57モデル(90年製)のボディカラーリングを『オリンピックホワイト』に塗リ直し依頼です。オリンピックホワイトも光線で焼けて黄色未を次第に帯びて来るものですが、初期のカラーをお望みです。

                       

                      元々はアッシュ材のボディに『Twoトーンサンバースト』でした。白の8点止めワンプライのピックガードが付いています。

                        

                       

                      現在の塗装の上に白を載せていく塗装の方法もあるのですが、”ニトロセルローズラッカー極薄仕上げ”がお望みで、下地まで剥がして木地から再塗装をする方針になりました。(この米国製もラッカー仕上げでした)

                       

                      木地に”サンディングシーラー”を塗って完全に下地を完成させた後、白を吹き付けます。『オリンピックホワイト』は、市販の白のラッカー塗料に極わずか黄色を交ぜて作ります。黄色の分量を増やして行けば経年変化の焼けたホワイトになって行きます。

                        

                      白色の上に”クリアーラッカー”を塗って仕上げて行きます、途中で”サンディング”を入れて平滑を出しながら、なるべく薄く仕上げられるようにしています。下地のシーラーでもそうですがサンディングを入れることで目止めし凹凸をなくし、かつ適度な厚さになるようにしないといけません。(今回は、サンディングシーラー5回/白塗装2回/クリアーラッカー4回)

                       

                      最終的に”ウエットサンディング”で目の細かいペーパーで表面を平らにしてから”バフ磨き”しますが、この工程でクリアーラッカー膜が「抜け」て下の塗膜が出たら、もう一度”クリアーラッカー”からやり直すことになります。気を使う工程です。

                        

                      ラッカーは、乾燥が進むと痩せていくので下地のペーパー跡が浮き出てくることもあり、途中時間を挟んで"バフ磨き”しています。(また冬場は乾燥が遅いので硬化しにくく、硬い膜にならないと磨いても艶が上がってきません。仕上げ段階で余裕がある方がいい仕上がりになりますね。実際は余裕を持つのが難しいのですが・・・)

                       

                      磨いた後に組み込みします。ビス穴周辺の塗装を取り除くておくと、ビスを締めたときに塗膜にヒビが入るのを防げます。

                        

                       

                      完成! 依頼主によると’57当時には『オリンピックホワイト』仕様はなく、この仕様は”Fenderカスタムショップ”でしかお目にかかれないとのこと。”通好み”の仕様ということですね。こだわりに納得。

                       

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